今回は、羅臼昆布を例にとって、コンブがどうやって昆布になるのかについて、少し紹介します。
昆布というのは、魚みたいに、とったらすぐに市場へというわけにはいかず、かなりの手間がかかります。今回は、羅臼昆布を例にとって、コンブをとってから昆布として出荷されるまでの工程を紹介します。
羅臼漁業協同組合HPの【羅臼昆布】をご覧ください。
このように、かなりの手間がかかっているため、値段が高いのも納得できます。ただ、この工程を経ることで、味がものすごく変わるわけです。
それで、改めて、羅臼町ですが、北海道の東の端にある知床半島の東側に位置する、人口5,000人ほどの漁業と観光のまちです。
なんといっても羅臼昆布が有名で、幅広で肉厚で大ぶりで、黄色味を帯びた濃厚でこくのあるダシがとれる、三大高級昆布のひとつです。細かく等級分けがされていて、「天然・黒・走り・一等」が最高級品です。
ただ、とれる範囲が狭く、知床半島でも羅臼側でしかとれないため、生産量も少なく、道内でもなかなか目にする機会がありません。
映像でご覧になったように、収穫から出荷まで、うま味を引き出すために、20以上の工程を経ています。さらに、出荷の時には、等級ごとに梱包され、分かりやすいように箱の色で、天然と養殖を分け、バンドの色と掛け方で、等級を示さなければならなりません。
昆布漁師も大変です。
今回は、昆布をどうやってとっているのか、という昆布漁について、少し紹介します。
昆布漁は7月から9月が最盛期で、北海道の短い夏の風物詩とも言えます。夏場に、北海道の海岸線沿いをドライブすると、昆布漁をしている磯舟を数多く目にすることになるかなと。
ただ、資源保護や天候などの関係で、漁に出られる日は限られていて、漁の日を知らせる旗が揚がると、漁師は磯舟に乗って一斉に漁場に向かいます。
それぞれのポイントにつくと、ガラスバコやマルメガネ、ハコメガネと呼ばれる道具で水中を覗いて、より質の良いコンブの位置を見定め、コンブマッカやコンブザオと呼ばれる道具を使って、コンブを先に絡ませて、ぐいっと捻りながら舟の上まで引き揚げます。
サオの長さは、ひとひろ、ふたひろ、みひろが一般的です。ひとひろが両手を広げた長さくらいなので約1.5m。ただ、羅臼では、やひろとか、とひろもあるサオを使うので、10mぐらいの深いところにあるコンブもとっています。
また、利尻では、コンブガマと呼ばれるカマで根元を切ってコンブをとる人もいますし、利尻ではグリグリ、函館ではバカマッカと呼ばれる鉄でできたらせん状の道具に細いコンブを巻き付けてとっている人もいます。
昔のコンブマッカは、すべて木でできていて、サオの部分は道外から取り寄せて、マッカの部分は近くの山からとってきて作っていましたが、最近は強化プラスチックやカーボン、塩化ビニル製のものも多くなってきています。
今回は、道内産昆布の種類とそれぞれの特徴について、少し紹介します。
道内の主な生産地というと、有名なのは、利尻昆布の利尻、羅臼昆布の羅臼、日高昆布の日高、真昆布の函館かなと。最近は、函館のがごめ昆布も勢いを増していますが。
それで、どれも北海道の海でとれるのですが、地域によって種類も違えば、味わいや適した用途もさまざまなので、それぞれについて紹介します。
【真昆布】
厚みがあって、幅が広く、上品な甘みのあるダシがとれます。最上のおぼろ昆布にもなります。
【利尻昆布】
真昆布に比べると固いですが、透明で塩味のきいた風味の良いダシがとれるので、京都の料亭などで使われています。
【羅臼昆布】
味も香りも良くて、ちょっと黄色みがかったコクのあるダシがとれます。そのまま食べても美味しいので、酢昆布や昆布菓子にも使われます。
【日高昆布】
味も良く、煮えやすく、柔らかく、そのまま食べても美味しい。しかも、お手頃価格なので、一般家庭向きのダシ昆布として使われることが多い。
【長昆布】【厚葉昆布】
生産量は多いですが、あまりダシ向きではなく、昆布巻きとかおでんの昆布、佃煮などに使われることが多い。
【細目昆布】
粘りが強いので、とろろ昆布用です。
【がごめ昆布】
もともとは雑草扱いだったのですが、近年、粘り成分のフコイダンに高い健康効果があることがわかり、注目を集めています。松前漬けやとろろ昆布として使われます。
今回は、植物としてのコンブについて、少し紹介します。
植物のコンブ、つまりコンブ科植物となると、いろいろなのがいるのですが、みなさんが普段食べている昆布というのは、褐藻綱コンブ目コンブ科カラフトコンブ属の植物のいくつかを指していて、単にコンブという名前の植物はありません。詳しくは添付ファイルをご覧ください。
植物としてのコンブは、寿命が2~3年で、秋を過ぎると、葉の部分だけが枯れてみすぼらしい姿になってしまいます。そして春になると再び成長するので、1年目の昆布と同様に、春先にとる昆布(竿前昆布)は柔らかいわけです。
また、昆布は、前回、お話ししたとおり、海藻なので、自立できません。このため、海の中のコンブは、倒れているように生えているため、コンブの森の中を泳ぐというのはなかなか難しいかなと。
北海道のコンブの生息分布は、添付ファイルの図の通りで、なかには、厚岸湖にだけ生息しているエナガコンブとか、稚内の声問にしか生息していないカラフトコンブとか、噴火湾だけに生息しているエンドウコンブとかもあります。
また、羅臼昆布というのはオニコンブで、日高昆布はミツイシコンブ、というように、山地名と朱の名前は必ずしも一致しているわけではありません。そして、紋別産のリシリコンブとか、広尾産のミツイシコンブもありますし、あと、根室でとれるオニコンブは羅臼昆布とは呼ばないので、少し注意が必要です。
進化という面から見ると、みなさんが食べているコンブは、そのほとんどがミツイシコンブとマコンブのグループの仲間なのですが、これらは、世界でも日本周辺にしか分布していないそうです。そして、日本でとれる天然昆布の90%以上が北海道でとれています。つまり、食用にされる天然コンブのほとんどは、北海道周辺にしか生息していない、ということになります。
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さて、ここでは、昆布とは何か、どこでとれて、どうやって昆布になっていくのか、など、意外と知らないことの多い昆布のことなどについて、少しずつ紹介していくことにします。
ところで、昆布は「海藻」なのですが、「海藻」と「海草」の違いって知っていますか?
「海草」と「海藻」の大きな違いは、種子で増えるか、胞子で増えるか、ということです。
「海草」というのは、海域に生育する種子植物の総称で、陸上の植物と同様、根・茎・葉に分かれていて、花を咲かせて、種子によって繁殖します。進化の過程で、一旦陸上生活に適応した後、再び海域に戻った種子植物と考えられています。食用にされることは少ないです。
アマモ、スガモ、ウミヒルモ、オゴノリ、など。
一方、「海藻」というのは、藻類のうち海産種群の総称で、海中にはえる藻類を指し、花は咲かず、胞子によって繁殖します。多くは食用とされます。根・茎・葉の区別がなく、海藻の「根」は、栄養吸収の装置ではなく、岩に固着するためだけのものです。
色の違いによって紅藻類・褐藻類・紅藻類によって大別されます。色の違いは、太陽の光が届く量によって左右され、浅瀬になるほど緑色、深くなるにつれて褐色、紅色と変化します。
緑藻類(りょくそうるい) :アオサ、アオノリ、など
褐藻類(かっそうるい) :コンブ、ヒジキ、モズク、ワカメ、など
紅藻類(こうそうるい) :テングサ、アサクサノリ、など
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