質量について(その2)
このクラウドファンディングCFで設定した研究の質量は、厳密には、慣性質量です。慣性質量はみなさんが(おそらく)嫌な記憶しかない高校物理の F=ma の式 (ニュートンの運動方程式)のmに相当します。一方もう一つの質量は、重力質量と言われるもので、やはり高校物理の万有重力の式 F=Gmm'/r2乗 の式に出てくるmとm'です。mはmassという英語の頭文字です。両者が本来異なるものですが、高校物理は、アインシュタインの(一般)相対性理論での、等価原理として慣性質量=重力質量を認めています。原理とは、とにかく説明なしに認めて議論しない場合に使います。光速不変の原理もそうです。私たちの研究の(慣性)質量が、いずれ等価原理の説明などで(一般)相対性理論にも寄与できるかもしれません。
ATLAS Digest – 10 December 2020
1 news and announcements
物理解析サブグループのまとめ役(2年任期)を募集します。
12月17日にONLINEで今年の終わりの週間meetingを開きます。終了後パーティーを開きます。
PCR検査で陽性の人と既症者はCERNメディカルサービスに申告願います。
2 ATLAS report
長期シャットダウン中のニュース:NSWとAFP-TOFの進捗報告
1月21日にATLAS Idea Day を開きます。新技術や新解析の方法についてアイデアを持寄りってください。
フェーズ2の為の準備の進捗報告
3 今週は1報の論文を提出しました。
4 宣伝活動: アトラスのblogを描く人を探しています。
クラウドファンディングの初期の目標を達成できましたことは、一重に皆様のご支援によるものであり、感謝しております。
今後は、いただいた応援支援を形に変えて、成果として皆様にお知らせできるように努力します。ご期待ください。
質量について
ヒッグス粒子が素粒子と結びついて(相互作用して)素粒子の質量を発現するというメカニズムで質量を理論的には説明しています。もともと、素粒子の質量はゼロだと考えられています。宇宙開闢時に大量の素粒子がそのエネルギーを背負って対生成されたはずですが、それは全て運動エネルギーの形だったはずです。宇宙の温度が膨張に伴って冷えて、ある時点で質量の発現が起きました。これは物理学の言葉で(宇宙の)相転移が起きたと説明されます(温度が下がると空気中の水蒸気が液滴(水)として出てくるように)。この相転移は宇宙が高い温度から低い温度になる時、安定な別の状態(水の場合、気体の水蒸気から液体の水)に変化することが起きたはずです。この相転移を一般化したのが、南部陽一郎先生です。南部理論では、こうした相転移(対称性の破れ)に伴いおまけの粒子がでてきします。これを使ってヒッグス先生らは、電磁気学と弱い力の統合が破れる理論で質量を持ったヒッグス粒子を予言しました。
世界に質量がないと(対称性の破れ、あるいは相転移が起きなければ)この宇宙は星も銀河も何にもない殺風景なものなって、私たちも居ないでしょう。ヒッグス粒子のおかげで私たちがあるとも言えるでしょう。
添付図は、ヒッグス粒子が質量を持つ前(左)と対称性が破れて質量が出現した後の様子(右)をイメージしています。
ILC(国際リニアコライダー)計画では、まず手はじめにヒッグス粒子の研究を行うHiggs Factory(衝突エネルギー250GeV)という名前で進めます。今最も熱い課題だからです。ここでは、このクラウドで進めるヒッグス粒子とトップクオークの結合の研究を推し進めることができます。
ILCは線形衝突型加速器なので、長くするか加速空洞の性能をあげると衝突エネルギーを増加させることができます。これを使って、トップクオークの対生成エネルギーでの実験を350GeVで行います。次にトップクオーク対とヒッグス粒子の全部が出てくる500GeVで実験をします。さらに3つのヒッグス粒子の結合を測定する1000GeV実験が待っています。
加速空洞の開発が進んで加速電場を大きくすることができれば、それに従って、2000GeVも夢ではありません。このあたりでは新粒子探索が大きな目玉となるでしょう。
1960年代以降の加速器実験の成果の歴史的流れは、次の実験がアジアでなされることと読み取れます。その代表がILC(国際リニアこライダー)計画です。この流れをまとめてみました。
質量の起源を担うヒッグス粒子の研究は、LHC加速器によるヒッグス粒子の発見で花開き、次世代電子陽電子衝突実験でその詳細が明らかにされると思われます。日本の研究者はこの為にILC(国際リニアコライダー)計画を推進しています。ILC加速器の想像図をつけます。私は、ヒッグス粒子研究の為に、ILC計画にも参画しています。
宇宙の観測について
宇宙についての多くのことは、天文学(光を使った観測)で分かってきました。最近は小柴先生のニュートリノによる天文学も生まれましたし、重力波も研究対象となっていますが、大多数の観測は未だに光(電波もその一種です)によって成し遂げられています。ところが、宇宙のはじめについての観測は、光では絶対できない領域があります。それは、宇宙開闢後約30万年より若い時代です。それは水素原子ができた時です。当時の温度は約3000度相当で、これより熱い、つまりより始まりに近い時代の光は、電子や陽子とプラズマ状態にあったはずでどこかに局在するなどという情報を持ちません。宇宙に関する情報がないのです。その後宇宙膨張と共に光の波長が伸びて、私たちの観測にかかっています。したがって、光を使う天文学では宇宙初期30万年以降が研究対象となります。
ヒッグス粒子について
1964年にヒッグスさんの論文と、アングレールさんとブルーさんの共著論文で予言されました。そして48年後の2012年に発見されました。ヒッグス粒子の特別性は、素粒子に質量を与えるだけではなく、長い間未発見であったことがあります。Higgs Hunter's guide などという書籍が1989年には出版されています。さらに、素粒子標準理論の枠組みで最後に発見されました。これで理論が完結したのです。しかし、宇宙の観測からダークマター(DM)と呼ばれる存在(おそらく素粒子)があり、理論はDMを含んでいません。私たちは、この理論を超える理論を今探し求めています。そのためには、DMの直接観測か素粒子標準理論の破れ(予言と異なる実験結果)の探索が焦点に成っています。
AIを使って物理の研究する、他の課題もすでに私の頭の中にはあります。その一つが、細分化されたカロメーターのエネルギー測定の精度をAIを使うと上げられるのではと考えています。そのための実験データも東北大学電子光理学研究センターの加速器で行っています。写真はその時の測定器を横から見たものです。
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研究結果概要(PDF)、お礼メッセージ、寄付金受領証 and others
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研究報告レポート(PDF版)、CERNで撮影した実験映像(画像・動画)、寄付金受領証 and others
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ヒッグス粒子とトップクォークが起こす特別な物理事象をAIが解析する画像、寄付金受領証 and others
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AIが物理事象を探索する際の実験画像、寄付金受領証 and others
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