このたびは、メディア研究のための学術誌『メディウム』の創刊と定期発行のためにご支援くださり、誠にありがとうございます。おかげさまで、クラウドファンディング開始から2週間ほどで目標を達成することができました。大変な情勢のなか、当初予想していたよりも多くの人々にご支援・ご協力いただき、驚くとともに心より感謝しております。
皆様からの支援金は、『メディウム』創刊号および第2号の発行・販売のために有効に活用させていただきます。創刊号準備の進捗状況や完成記念研究会の詳細につきましては、引き続き進捗報告欄およびTwitterアカウント(@Medium_Schrift)を通してご報告いたします。
私たちは、今回ご支援いただいた資金に加え、各号の販売で得られた資金を元に『メディウム』の定期刊行を行う予定ですが、第3号以降の発行資金に関しては、まだ安定した財源を確保することができておりません。そこで、現時点でチャレンジ期間が2ヶ月ほど残っていることもあり、3号分の原資としてセカンドゴールを60万円、5号分の原資としてサードゴールを95万円に設定し、引き続き皆様からのご支援を募りたいと考えております。『メディウム』を少しでも長く、充実した形で発行し続けることができるよう努めてまいりますので、今後ともご支援・ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
私たちは「メディア」という概念を出発点にして、さまざまな技術や道具の歴史や仕組みについての研究と人文学研究を架橋することに関心を抱いてきました。
発起人の1人である梅田拓也は、ドイツのメディア理論家フリードリヒ・キットラーの思想の発展過程について研究してきました。キットラーはヨーロッパの思想や芸術の歴史を、筆記技術や印刷、蓄音機、映画、タイプライター、コンピューターといったさまざまなメディアから捉えなおすという議論をした人です。そのため、キットラーの議論が何をどのように議論していたのかを丁寧にほどくことで、いわゆる「文系/理系」の壁を越えて人文学(哲学や文学、芸術、歴史の研究)と科学や技術の研究を架橋するための立脚点となると考えられます。
もう1人の発起人である今関裕太は、20世紀のアイルランド文学をメディア史の視点から研究してきました。ジェイムズ・ジョイスやフラン・オブライエン、エリザベス・ボウエンやサミュエル・ベケットといった、英語圏のモダニズム文学において中心的な位置を占めてきた作家たちの革新的な文体は、蓄音機や映画、タイプライター、ラジオやテレビといった、同時代のメディアとの積極的な関わりのなかで形成されていったという見方が、近年では次第に有力になっています。文学・文化における諸技法とメディア技術の関係を明らかにする作業は、現代の私たちが日常的に触れる言葉の技法と技術の言葉の複雑な絡み合いを解きほぐす出発点になると考えています。
私たちは、大きく異なる研究対象を扱いながらも「メディア」という関心を共有しながら議論を重ねるうちに、人文学に軸足を置きつつ「メディア」についての研究成果を発表する場を新たに創出したいと考えるようになりました。
上述のように、人文学の領域において「メディア」という言葉は、書物や新聞、音響・映像機器、コンピューターといったさまざまな道具や技術を指すものとして用いられてきました。しかし、日本語圏において「メディア」は多くの場合、新聞やテレビといったマスメディアを指し、「メディア研究」は報道や広告を対象とした社会科学の一分野として展開されています。そのため、現在の日本において「メディア」を扱う学術雑誌は、マスメディアを対象とした社会科学研究を中心とするものがほとんどであり、広義の「メディア」を射程に入れた議論の場は非常に限られています。
また、「メディア」についての議論の場を創りだすことは、人文学という領域全体の社会的意義にも関わります。現代において、人文学がかつての存在感を失う反面、自然科学や工学への期待が高まっており、両者の隔たりは日々大きくなっているようにも思えます。しかし、人文学の知と科学・技術の知は、互いに無関係に発展してきたわけではありません。人文学は、科学・技術と人間および文化の関係を捉え返すさまざまな視点を提示してきただけでなく、科学や技術に多くの知的資源を提供してきましたし、逆もまた然りです。人文学と科学・技術の双方の領域に関わる概念である「メディア」は、そうした両者の積極的な関わり合いを人文学の側から再構築するうえでの出発点になると言えるのではないでしょうか。
本プロジェクトでは、文学・芸術・歴史といった人文学の諸領域に軸足を置きながらメディアに関する研究を学際的に蓄積する学術雑誌『メディウム』の創刊と定期刊行を目指します。
『メディウム』という雑誌名は、英語でもドイツ語でもあるMediumを日本語として用いることで、メディア研究において先駆的役割を果たしてきた英語圏・ドイツ語圏の研究成果を批判的に受容することを出発点のひとつとし、また複数形の「メディア」ではなく単数形の「メディウム」とすることで、マスメディアというよりは個々別々のメディアに着目する姿勢を表しています。
雑誌の創刊にあたっては、次の3つの方針を掲げたいと考えています。第1に、この雑誌は「メディア」と人間の社会・文化の関係について考究する論考を、分野を問わず公募を通して集め、掲載します。第2に、開かれた査読制度の導入によって、議論の水準の確保を図ります。第3に、年1〜2回の定期発行を通して、メディアについて長期的な視座で論じる環境を創出します。その際、各号において特集を設定することで、その時々において重要な課題についてさまざまな角度から議論を行う場とすることを目指します。
第1号では、フリードリヒ・キットラーについての特集を企画しています。蓄音機やタイプライターといった個別のメディアとヨーロッパ文化・社会の関係についての包括的な議論を通して、ドイツ語圏・英語圏のメディア研究に大きな影響を及ぼしながらも、日本では受容が進んでいないキットラーを出発点のひとつとすることで、日本における「メディア」についての議論の場を新たに設けることを狙いとしています。投稿者の募集はすでに終了しており、特集枠外のものも含めれば、現時点で15本ほどの論考が寄せられています。
ご支援いただいた研究費は、雑誌の創刊および継続的発行の原資として利用する予定です。低予算での発行が可能なWebジャーナルの形式をとることも考えましたが、長い時間にわたってより多くの人に手にとっていただきたいと考え、紙媒体での発行を目指しています。そのため、印刷料、即売会出展料、広告料が必要となります。
上述したように、私たちは『メディウム』を、一過性の議論の場ではなく長期的な議論の場とすることを目指しています。編集部では、第1号のフリードリヒ・キットラー特集に続き、第2号以降に掲載するものとして、ベルナール・スティグレールやキャサリン・ヘイルズ、前田愛やマーシャル・マクルーハン、ダナ・ハラウェイといった研究者に焦点を当てた特集を準備中です。
そのためこのプロジェクトでは、ファーストゴールを2号分の原資40万円、セカンドゴールを3号分の原資60万円、サードゴールを5号分の95万円と設定します。クラウドファンディングで応援いただいた金額に合わせて、各号の売り上げを次号以降の原資とし、雑誌の定期刊行を可能な限り継続したいと考えています。
Date | Plans |
---|---|
2020年9月 | 『メディウム』創刊号完成予定 |
2020年12月 | 『メディウム』創刊号完成記念研究会実施予定 |
2021年9月 | 『メディウム』第2号完成予定 |
本プロジェクトについて紹介する報告書をお送りします。
活動報告レポート(PDF版)
4 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)
『メディウム』創刊号へお名前を掲載させていただくとともに、本プロジェクトの報告書をお送りいたします。
学術雑誌『メディウム』の創刊号の謝辞にお名前掲載 / 活動報告レポート(PDF版)
4 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)
『メディウム』創刊号へお名前を掲載させていただくとともに、本プロジェクトの報告書と『メディウム』創刊号、オリジナルロゴステッカーをお送りいたします。
『メディウム』の創刊号およびロゴステッカー / 学術雑誌『メディウム』の創刊号の謝辞にお名前掲載 / 活動報告レポート(PDF版)
40 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)
『メディウム』創刊号へお名前を掲載させていただくとともに、本プロジェクトの報告書と『メディウム』創刊号、オリジナルロゴステッカーをお送りいたします。さらに『メディウム』創刊記念研究会へご招待いたします(関東と関西で1回ずつ実施予定です)。
『メディウム』の創刊号完成記念研究会にご招待 / 『メディウム』の創刊号およびロゴステッカー / 学術雑誌『メディウム』の創刊号の謝辞にお名前掲載 / 活動報告レポート(PDF版)
9 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)
『メディウム』創刊号へお名前を掲載させていただくとともに、本プロジェクトの報告書と『メディウム』創刊号~第5号、オリジナルロゴステッカーをお送りいたします。さらに『メディウム』創刊記念研究会へご招待いたします(関東と関西で1回ずつ実施予定です)。
『メディウム』の2号〜5号を送付 / 『メディウム』の創刊号完成記念研究会にご招待 / 『メディウム』の創刊号およびロゴステッカー / 学術雑誌『メディウム』の創刊号の謝辞にお名前掲載 / 活動報告レポート(PDF版)
19 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)
『メディウム』創刊号へお名前と広告(支援していただいた方のご著書等を想定しております)を掲載させていただくとともに、本プロジェクトの報告書と『メディウム』創刊号~第5号、オリジナルロゴステッカーをお送りいたします。さらに『メディウム』創刊記念研究会へご招待いたします(関東と関西で1回ずつ実施予定です)。
『メディウム』の創刊号への広告掲載 / 『メディウム』の2号〜5号を送付 / 『メディウム』の創刊号完成記念研究会にご招待 / 『メディウム』の創刊号およびロゴステッカー / 学術雑誌『メディウム』の創刊号の謝辞にお名前掲載 / 活動報告レポート(PDF版)
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活動報告レポート(PDF版)
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学術雑誌『メディウム』の創刊号の謝辞にお名前掲載
4
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『メディウム』の創刊号およびロゴステッカー
40
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『メディウム』の創刊号完成記念研究会にご招待
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『メディウム』の2号〜5号を送付
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『メディウム』の創刊号への広告掲載
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