皆様のおかげで当初の目標額を達成することが出来ました。本当にありがとうございました。
予定通りに一軸性圧力印加装置への資金に充当させていただきます。
まだチャレンジ終了まで期間がありますので、セカンドゴールとして50万円を目標とし、ピエゾ素子を用いたさらなる低温下加圧装置の開発と実用化に向けて努力しようと思います。
超伝導とは、ある温度以下で物質の電気抵抗が0になる現象をいいます。電気抵抗は中学校で習ったとおり、オームの法則「電圧=電気抵抗 × 電流」の電気抵抗です。消費電力は「消費電力=抵抗 × 電流 × 電流」で表されます。つまり、電気抵抗が0になる超伝導体では消費電力は0となります。たとえば、送電線に用いた場合、現在は銅線を用いているので送電するだけで熱エネルギーとして消費され、5%の電力ロスが起こりますが、超伝導体を用いた送電線を作成すると電力ロスがなくなります。
また、電気抵抗が0になることを用いて強力な電磁石を作ることができます。たとえば、超伝導体を用いたコイルでは世界最強の永久磁石であるネオジム磁石の80倍もの磁場を作り出すことができます。この性質はリニア中央新幹線やMRI検査の装置にも用いられ、我々の生活に密接に関わっています。
超伝導体はある温度以下でしか電気抵抗が0になりません。この「ある温度」というのは物質によりけりですが、-200℃以下で超伝導になる物質がほとんどです。そこで超伝導の研究者のなかには超伝導転移温度を高くしようと研究している人もいます。一方、基礎物理の範囲では、「どうして超伝導になるのか?」「超伝導状態でおもしろい現象が見つからないか?」ということを研究している人もいます。
私たち京都大学固体量子物性研究室では主に「超伝導かつ磁石」の性質を持つ物質など、物理的に興味深い超伝導体を電気抵抗測定、磁化率(磁石としての強さ)測定、核磁気共鳴測定(MRIの物質版)を行い、「超伝導かつ磁石」の物質の特徴を研究し、「どうして超伝導になるのか」という問いに答えようと日々研究を進めています。
私は今回、ルテニウム酸化物(Sr2RuO4)に注目しました。Sr2RuO4は25年前に発見された超伝導体で、さまざまなおもしろい実験結果が得られています。そのなかで私は「一軸性圧力(ある一定の方向の圧力)をかけたときに高い温度から超伝導になること」に興味を持ちました。一軸性圧力によってSr2RuO4は、超伝導になる温度が約2.3倍になります。この結果はドイツのマックスプランク研究所から報告され、非常に注目を浴びています。
この先行研究において、一軸性圧力下では「状態密度」と呼ばれる物理量が増えることで超伝導転移温度が上がると考察されていますが、これを実験的に証明した研究はありません。彼らの手法は、電圧をかけると伸び縮みするピエゾ素子を用いて冷やしたまま一方向に圧力をかけるという画期的なものでしたが、彼らの装置で圧力をかけられる試料の大きさは1mm × 0.5mm × 0.01mm程度と小さく、超伝導状態の情報を得るために有用な電子スケールの微視的測定を行うのには十分な大きさとはいえませんでした。
そこで私はより大きな試料を押せる一軸性圧力印加装置を開発し、Sr2RuO4でのNMR測定を行うことを計画しました。私が計画している装置では6mm2(充電ケーブルの太さ)程度の大きさの試料を押すことができます。NMRは試料に大きな磁場を加えて原子核の情報を調べる微視的な測定であり、状態密度を測定できます。先行研究で提案されているように、超伝導になる温度が高くなることと状態密度が関係しているのならば、NMRによって測定できると考えられます。
一軸性圧力印加装置はSr2RuO4にとどまらず、固体物理の研究対象であるほかの超伝導体や磁性体(磁石のような性質をもつもの)に対しても有効なので、この研究によって日本における物性物理の新しい扉が開くと私は考えています。
現在は市販の皿ばねという強力なばねを使って一軸性圧力印加装置のひな型を作成していますが、実用段階に持っていくためには磁石とくっつかない特別な皿ばねを製作する必要があります。装置はひな型をベースに外注する予定ですが、皿ばねの製作費だけでも15万円程度、さらに加工代やその他の原料費がかかります。ご支援いただいた研究費は、装置の製作費のほか、学会の交通費、宿泊代、論文掲載費などに使用する予定です。
私はこの研究はやる価値があることだと強く信じています。基礎研究は日本ではあまり有用性がわかってもらえず研究費が貰いにくい状況であるため、今回学生の身分ではありますがacademistでクラウドファンディングにチャレンジすることにしました。
今回のことはおそらく固体物理の基礎研究として、また固体物理の修士課程の学生としては初となるクラウドファンディングであるため、博士課程へ進学を希望するすべての研究者の卵の指針となることだと思います。日本では研究費が「選択と集中」によって獲得が難しくなり、すぐに結果の出る研究が多くなりましたが、基礎研究がなければ物理の進展はないと考えています。こうしたクラウドファンディングによってご支援いただけることがわかれば、日本の研究も良い方向へと進んでいくことになると楽しみにしています。
Date | Plans |
---|---|
2019年7月 | クラウドファンディング挑戦 |
2019年8月 | クラウドファンディング終了 |
2020年3月 | 学会発表(こちらでお名前を紹介させていただきます) |
2020年3月〜 | 研究手法に関する論文執筆(こちらの謝辞にお名前を掲載させていただきます)、物質研究の論文執筆 |
研究の詳細な進捗などをレポートにまとめてお送りします。超伝導やNMR、NQRの簡単な説明文も書かせていただきます。応援よろしくお願いいたします。
研究報告レポート(PDF版)
7 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)
個人Webサイト( http://www.ss.scphys.kyoto-u.ac.jp/person/kinjo/index.html )にお名前を掲載いたします。
個人Webサイトにお名前掲載 / 研究報告レポート(PDF版)
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2020年3月の日本物理学会での発表スライドの初めにプログラムの紹介とともにお名前を掲載させていただきます。口頭発表できる内容にならなかった場合は、ポスター発表にお名前を掲載させていただきます。
学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / 個人Webサイトにお名前掲載 / 研究報告レポート(PDF版)
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2020年3月に提出する修士論文にお名前を掲載します。
修士論文の謝辞にお名前掲載 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / 個人Webサイトにお名前掲載 / 研究報告レポート(PDF版)
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本研究成果を発表する際の謝辞にお名前を掲載させていただきます。
※研究成果をまとめられるよう努力いたしますが、論文の掲載に至らない可能性もございますこと、ご承知おきいただけますと幸いです。
論文謝辞にお名前掲載 / 修士論文の謝辞にお名前掲載 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / 個人Webサイトにお名前掲載 / 研究報告レポート(PDF版)
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製本した修士論文をお送りします!
製本した修士論文の送付 / 論文謝辞にお名前掲載 / 修士論文の謝辞にお名前掲載 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / 個人Webサイトにお名前掲載 / 研究報告レポート(PDF版)
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