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ケイ素と電子移動を利用する有機分子変換法を開発したい!

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SUCCESS
諸藤達也
学習院大学、助教
Pledged: 1,559,000 JPY
Target Amount: 500,000 JPY
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311 %
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Reached the funding target!

皆様、目標の50万円の支援を頂くことができました!
なんでもacademist史上最速の達成だそうで、ひとえに皆様の熱いご支援のおかげです。本当に、本当にありがとうございます。

有機化学初のクラウドファンディングということで、私の実力以上の励ましと支援を頂きました。支援者の皆様には感謝してもしきれません。また情報拡散もたくさんの方にしていただきました。間違いなく、今回達成できたのは、情報をすごい勢いで広げてくださったおかげです。感謝申し上げます。

厚かましいこと&偉そうになってしまいますが、有機化学でまた別の誰かがクラウドファンディングに挑戦する場合、私にしてくださったような暖かな応援をしていただき、有機化学者にとってクラウドファンディングが身近になるような未来に繋げましょう!!

繰り返しになりますが、本当にありがとうございました。

今後、残りの期間ではセカンドゴールとして100万円を目標として、より、発展的な典型元素や電子移動を利用した反応開発を行っていきたいと考えております。今後とも応援の程、よろしくお願いします。

Comment from academist staff
分子変換法の多様化こそが、有機化学の発展には必要

miho otsuka

新しい分子の合成や分子変換法の開発をとおして、有機化学の研究者は、私たちの生活を支えるさまざまな分子を生み出しています。諸藤さんは、有機化学の発展には分子変換法の多様化が重要であると信じ、分子変換の主流とはいえない「典型元素」と「電子移動」の組み合わせにあえて着目しました。今回のプロジェクトでは典型元素のひとつであるケイ素にスポットを当てて、新しい分子変換法の開発を目指します。2018年4月にアカデミックキャリアをスタートさせたばかりの諸藤さんの第一歩に応援をよろしくお願いいたします!

新しい有機分子変換法を開発したい

有機合成化学はしばしばレゴにたとえられます。レゴは小さなブロックを組み合わせ、形を作り、あるものは車になったり、城になったり、動物になったり、宇宙船になったりします。有機合成化学もこれと同様に、小さな分子を組み合わせて、大きな分子を作っていきます。組み上げた大きな分子は医薬、香料、農薬、有機EL、プラスチックなど、さまざまな分野で価値を提供し、我々の生活を支えています。

しかし、このたとえには、十分でない点があります。有機分子は、レゴのように簡単にくっつくわけではありません。組み合わせたい分子に応じて、温度、圧力、反応時間、溶媒、試薬など、さまざまな実験条件を試す必要があります。組み合わせの手法が一様であるレゴとは異なり、有機分子変換の方法はさまざまに考えられ、その方法を開発することも研究の対象となります。

つまり有機化学の研究の2大ストリームは、新しい分子を合成すること、また、新しい合成ルートを開発することといえます。そして私は、後者に興味をもっています。これまで知られている手法とは一線を画すような、新しい有機分子変換法を開発することで、エネルギー消費や廃棄物が少ない反応を実現したり、製造コストが高い分子を安価に供給できるようになる可能性があります。特に今回の研究では典型元素であるケイ素にスポットを当てて、有機ケイ素化合物の電子を動かすことを利用した分子変換法を開発します。

電子を動かして、分子を変換する

一般的に分子変換はどのようにして起こるでしょうか? 分子の変換は、化学結合が切れたり、新しい化学結合を形成したりすることで起こります。この化学結合というのは、物理的にひもで結ばれているようなものではありません。結合を担っているのは電子で、ある分子(原子)Aと別の分子(原子)Bが「電子を共有している」状態のことを、AとBが結合していると呼んでいます。したがって、結合を担っている電子を「移動」させることで、結合が切れて、分子を変換することができます。

電子を移動させるのに「都合のよい」ケイ素

有機分子を構成する代表的な元素は炭素(C)です。今回着目しているケイ素(Si)は周期表において、炭素のすぐ下に位置する元素ですが、炭素とはまったく異なる性質を示します。ケイ素のひとつ目の特徴として、炭素よりも大きいため、結合が長くなります。たとえば炭素-炭素結合は1.54(Å)ですが、炭素-ケイ素結合は1.85(Å)です。一般的に長い結合は弱い結合となり、弱い結合から電子は取れやすいので、ケイ素は電子を移動させるのに都合のよい元素といえます。

2つ目の特徴として、ケイ素は5配位状態という特殊な構造を安定にとることができます。これは結合を5本もっているような状態に相当します。炭素とケイ素はいずれも、通常は4本までしか結合をもちませんが、ケイ素は炭素と異なり、5配位状態でも存在し得るのです。5配位状態のケイ素化合物は通常より電子があまった状態になるので、さらに電子が取れやすくなります。この性質からも、ケイ素は電子を移動させるのに都合がよいことがわかります。

このように、電子を移動させることでさまざまな反応が起こると期待されるケイ素化合物ですが、ケイ素は単離するために膨大なエネルギーが必要なため、ケイ素試薬が非常に高価であるという問題があります。そのため、ケイ素試薬を使い捨ててしまう従来の反応プロセスでは、コスト面での課題が残ります。ケイ素を利用した電子移動反応を開発するうえで、私は「ケイ素試薬を使い捨てない」新しいプロセスが必要であると考えました。

「リサイクルできるケイ素試薬」を用いた電子移動反応の開発

本研究では、「リサイクルできるケイ素試薬」を用いた電子移動反応の開発を目指します。下に示す化合物はマーチンのスピロシランと呼ばれる化合物であり、それ自身高い安定性を有する化合物として知られています。マーチンのスピロシランは有機リチウム試薬や有機マグネシウム試薬と反応させると、安定な5配位状態(シリカート)を得ることができます。

このシリカートから「可視光レドックス光触媒」により電子を取ると、ラジカル種と元のマーチンのスピロシランが発生します。ラジカル種は有機反応の基本的な活性種で、さまざまな反応への応用が期待できます。また、副生成物は元のマーチンのスピロシランであり、その高い安定性から壊れることなく、リサイクルできると考えられます。よって、本手法は高価なケイ素試薬を廃棄物にしない、優れたプロセスになるはずです。

今回の研究ではまず、さまざまな有機リチウム試薬や有機マグネシウム試薬を用いてシリカートを合成し、次にシリカートから可視光レドックス光触媒によってラジカル種を発生させ、さまざまな基質と反応させる実験を進めます。

このような典型元素と電子移動を用いたプロセスの開発は研究が進んでいません。本研究が成功すれば、典型元素化学と電子移動化学の知見がハイブリットした、廃棄物の少ない省資源型の新しい有機分子変換法の開発につながると考えられます。将来、医薬や有機ELの効率的な合成に発展していくものと期待し、研究を進めていきます。

Why we need your support

今回の研究課題を含め、私は「典型元素」と「電子移動」に注目した新しい有機分子変換法の開発に取り組みたいと考えています。有機分子変換法の開発というと、「遷移金属触媒」を用いる研究が主流であるといえます。たしかに遷移金属触媒は優れており、有機化学になくてはならないものなのですが、一方で、それだけでは実現できない分子変換もあると私は信じています。今後の有機合成化学の発展には分子変換法の多様化が重要だと考え、このような研究に取り組んでいます。

一方で、私は2018年の3月に花王株式会社を退社し、同4月からアカデミックキャリアをスタートさせたばかりです。そのため、研究資金、人手、実績すべてが十分といえる状況ではありません。十分以上にあるのは、研究したいこと、知りたいこと、試したいアイデアだけです。そこで、このような自分の興味から行う研究を推し進めるために、クラウドファンディングに挑戦することを決めました。ご支援いただいた研究費は、有機合成のための試薬やガラス器具の購入、また人件費に充てたいと思っています。

本研究課題は私のアカデミックキャリアにおける第一歩になります。今後、この研究を足がかりに、ケイ素以外の典型元素であるリンや硫黄と電子移動に立脚した新しい分子変換を開発し、新たな研究領域を切り開いていきたいと考えています。

また、サポーターのみなさまには、なるべく楽しんでいただけそうなリターンを設計しました。本気で書くレポート、サポーター同士の交流の場の提供、宣伝の機会といったものです。特に交流の場では、私自身との交流というより、基礎研究を支援してくださる想いをもったサポーター同士が集まれることに大変価値があると思っています(何より私が一番楽しみにしております)。本クラウドファンディングをきっかけに、サポーターのみなさまとの交流も深めたいと思っております。ご支援のほどどうぞよろしくお願いいたします。

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本プロジェクトは、「情熱」をテーマに公募を実施した「<Beyond Next Ventures × academist>マッチングファンド」第一弾に選出されたものです。クラウドファンディングが成立した場合、Beyond Next Ventures株式会社とacademistの特別マッチングファンドとして、50万円の追加支援を実施いたします。
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Profile

諸藤達也

1988年大阪生まれ。京都大学工学部を卒業し、同大学院工学研究科合成・生物化学専攻へ進学。有機電気化学に基づいた電子移動反応を研究していました。2016年、博士(工学)を取得後、花王株式会社に入社。2018年3月に同社を退社し、同年4月、学習院大学理学部化学科助教に着任。趣味は卓球で、中学から大学まで部活で頑張っていました。ささやかな特技はカードマジックです。動画で披露しているのでぜひ見てくださいね。

Project timeline

Date Plans
2019年4月 クラウドファンディング挑戦
2019年3月〜2019年6月 シリカートの一般的合成法の確立
2019年6月〜2019年9月 シリカートから電子を取り、ラジカルを発生させる手法の確立
2019年9月〜2019年12月 開発した反応の適用範囲の検証
2020年2月 クローズド研究会発表
2020年1月〜2020年3月 論文投稿のためのデータの収集
2020年3月 論文投稿、日本化学会年会発表

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あつい感謝長文お礼メールをさせていただきます。また、諸藤と会ったときにサポーターであることをお伝えいただければ、90°の深いお礼をさせていただきます。学術の基礎研究に投資してくださるあなたを全肯定してみせます。

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ただただ応援、誠意のこもったお礼

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研究生活で思うこと、本クラウドファンディングに取り組むうえでの作戦など、ブログには書けないブログの裏話を、全3回お届けします。かなり力をいれて書きます!

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オリジナルレポート「もろふじが研究生活で思うこと」 / ただただ応援、誠意のこもったお礼

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本研究に関する学会発表をする際、謝辞にお名前を掲載させていただきます。応援よろしくお願いいたします!

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学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / オリジナルレポート「もろふじが研究生活で思うこと」 / ただただ応援、誠意のこもったお礼

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Featured : ブログ「有機化学論文研究所」にお名前掲載

ブログ「有機化学論文研究所」(https://moro-chemistry.org/)にお名前もしくはハンドルネームを載せます。Twitterやサイトのリンクを張ることも可能です。掲載期間は2020年3月までとさせていただきます。

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Featured : クローズド研究発表会参加権

論文になった内容はもちろん、まだ未公開の内容も交え、私が直接研究成果を発表します。クローズドならではの試みとして「なぜその研究をそのようにするのか?」など研究経緯・戦略にスポットを当てて解説していきます。東京都内で2020年2月1日(土)を予定しています。またそのあと懇親会をします(懇親会費は別)。奮ってご参加ください。

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本研究成果を発表する際の謝辞にお名前を掲載させていただきます。※研究成果をまとめられるよう努力いたしますが、論文の掲載に至らない可能性もございますこと、ご承知おきいただけますと幸いです。

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私と飲めるだけのことにそんな価値があるとは思っていません。ただ私の研究に対し、個人でこのような多額の援助をしていただける方にぜひ直接お礼を言わせてください。また、ぜひあなたのお話も聞かせてください。困っていることがあれば、できる範囲で協力します。

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さし飲みの権利(東京近郊での対面) / 論文謝辞にお名前掲載 / クローズド研究発表会参加権 / ブログ「有機化学論文研究所」にお名前掲載 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / オリジナルレポート「もろふじが研究生活で思うこと」 / ただただ応援、誠意のこもったお礼

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Featured : 御社の製品or個人の取り組みについて正直な感想述べます。ブログ記事にすることも可。

貴社の製品を実際に使わせていただき、感想を書きます。もしくは個人の取り組み(例:個人ブログ)について感想を書かせてもらいます。忖度は一切ありません。正直に書きます。ブログ掲載の判断はお任せします。 ※製品や状況によって、お引き受けできない場合がございます。事前にご相談ください。

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貴社の製品or個人の取り組みについて正直な感想述べます。ブログ記事にすることも可。 / さし飲みの権利(東京近郊での対面) / 論文謝辞にお名前掲載 / クローズド研究発表会参加権 / ブログ「有機化学論文研究所」にお名前掲載 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / オリジナルレポート「もろふじが研究生活で思うこと」 / ただただ応援、誠意のこもったお礼

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