サポーターの皆様へ
統合失調症薬物治療ガイドラインタスクフォース参加のご報告
この度のクラウドファンディングに関する研究プロジェクトを行っている、協和病院薬剤科の村田です。
この度、日本神経精神薬理学会より「統合失調症薬物治療ガイドライン」タスクフォースメンバーを委嘱頂きました。
抗精神病薬を適正に使用するにあたり、どの様なエビデンスが得られているかどうかを、様々なメンバーの皆様に指導頂きつつ、Mindsの形式に則りシステマティックレビューを行って参ります。
幾つかのアウトカム設定が予定されており、本研究に関連する項目が含まれるよう調整中です。
少しでも当事者の皆様、そして薬の適正使用のために本来の「薬の有用性」が多くの皆様にご理解頂けるよう尽力して参ります。
http://www.asas.or.jp/jsnp/csrinfo/03.html
サポーターの皆様へ
皆様の知り合いの方への最後のお声がけのお願い
このたびの「抗精神病薬の費用対効果を評価する!」の研究プロジェクトを行っております協和病院薬剤科の村田、そして東京大学大学院五十嵐です。
これまでに、多くのサポーターの皆様に応援を賜り誠にありがとうございます。
さて、本クラウドファンディングも残り日数が、あと2日だけになりました。
5月9日(木)が最終日です。
近年は、我が国における医療費増大はとても大きな課題であり、特に薬剤費の伸びは著しいものがあります。
そして、精神科領域では、同じような効き目のある薬を複数併用するパターンが、統合失調症領域では未だ主流となっています。
このような状況では、高額だけれども副作用が少なく有用性に優れる非定型抗精神病薬の使用が制限される可能性が否定できない状態とも言えます。
本プロジェクトの研究は、抗精神病薬の適正使用を病院の治療方針としている当院の治療実績を元に、抗精神病薬の費用対効果を示す事を目的にしています。
有効性は、患者さんが生きがいをもって地域生活を送っていらっしゃるか、すなわち地域移行を指標にしています。
この研究を通して、適正使用を推進することで薬の真の有効性が評価できる、というメリットを示す事が可能になります。
この事は、結果的に我が国における抗精神病薬の適正使用を推進する後押しになると考えられ、当事者やその家族などケアに関わる人たちにとって、福音となることが期待されます。
ファンディングの最終日まで、時間が残り少なくなってまいりましたが、お知り合いの皆様方にも、このプロジェクトをご紹介いただき、一層のご支援を賜りますよう、ご協力頂ければ幸いに存じます。
先にお示ししたデータでは、副作用を費用に換算するという過程が必要でした。
しかし、現在日本で行われている方法には幾つかの懸念があります。
本研究では、より妥当性の高い方法を採用しています。
詳細を下記リンクにお示ししていますのでご参照ください。
本年度中に学会発表を予定しているデータをお示しします。
安いが副作用が多い薬(ハロペリドール)よりも、高額だが副作用の少ない非定型抗精神病薬を続けた方が、生活の質が改善しコストが下がります。日本人を対象とした研究としては初めてのものです。
費用対効果に優れる可能性のある薬(右下3剤)の用い方はもちろん、それ以外の薬についても「どういう特性を持てば費用対効果に優れると判断されるか?」という観点での評価も可能です。
詳細な評価のため、ご支援をお願いいたします。
抗精神病薬処方用量とQOL(縦軸は敢えて伏せています)との関連を評価しました。下図の様に、処方用量が増加するとQOLが悪化します。
日本人を対象とした研究では、おそらく初めてのデータだと考えられます。
研究にご協力頂ける方と、縦軸の項目や回帰式を明記したデータを共有可能です。
どうぞよろしくお願いします。
本研究の特徴の一つに、先行研究や大規模臨床試験の結果を用いたシミュレーションが実施できるという事があります。
その特徴を生かし、本研究では当院の治療実績に加えて、メタアナリシスやネットワークメタアナリシスの結果を活用して、様々な薬の費用対効果を検討する予定です。
仮に、このような試験を臨床研究で行うとすれば莫大な費用が掛かります。一方、それに比べると本研究は僅かな費用で評価できるという長所があるわけです。
是非ともご協力を頂ければ幸いです。
このたび、本研究に関する精神科領域のガイドライン改訂の委員を委嘱頂きました。
本研究に関連する内容について盛り込まれる方向性になりつつあります。
皆様のご協力をたまわれれば、今後の改訂時にその内容が組み込まれる可能性もあるかと思います。
つきましては、今後の一層のご協力を頂ければ幸いです。
本研究に関連し、学会発表予定の演題についてご紹介いたします。
ご協力頂ける方は、共同研究者としてあるいは謝辞でのご紹介をさせて頂きます。
今後もご支持頂ければ幸いです。
① 地域移行達成に関する統合失調症薬物治療に関連する要因の同定
・・・地域移行達成のためには、適正使用の推進によるQOL悪化を最小限に止めることが有用である
② メタアナリシス及び当院の治療実績に基づく非定型抗精神病薬の治療戦略に関する費用対効果評価
・・・本邦で使用できる非定型抗精神病薬について、有用性の高いものやその使用の在り方、そして持効性注射剤を用いることで有用性が高まりやすい薬剤はどれか、といった観点で評価致します。
本研究の実施に当たり、地域移行達成にはどのような要因が関係するかを予備的に調査しました。結果として、抗精神病薬の適正使用が地域移行達成に寄与する可能性が示唆されました。この結果は、本年度中の学会発表を予定しています。共同研究者としてお加え頂けますので、是非ご寄付についてご検討のほどよろしくお願いします。
〇解析方法:地域移行達成をアウトカムとした後方視的解析。交絡因子び医学的に関連性の深い要因を説明変数とした、多重ロジスティック回帰分析により評価。
〇評価対象:本研究の組み入れ基準を満たした統合失調症患者
〇結果
関連する要因としてピックアップされた項目
・QOL(quality of life)・・・高値ほど、地域移行が達成しやすい
・錐体外路症状・・・症状が重度ほど、地域移行達成しづらい
・抗精神病薬の処方用量・・・処方用量が多いほど、地域移行が達成しづらい
今後の学会発表、論文化の際にお示しする予定の結果
・抗精神病薬ごとの、地域移行達成しやすさの違いについて
・同じく、QOLや副作用の違いについて
〇考察
地域移行の達成には、患者さんのQOLが良好である必要がある。そのためには、抗精神病薬を適正に使用し、特に処方用量が大きくなりすぎない様にして、錐体外路症状の様な副作用を最小化する必要がある。
本研究では、患者さんの「退院」よりも「地域移行」を重視する理由について
本研究では、地域移行達成の基準として下記の用件をすべて満たした場合を想定しています。
・入院中に抗精神病薬による治療が実施された統合失調症患者
・作業療法士による退院支援プログラムが実施
・精神保健福祉士による介入が実施された
・退院後の地域ケアを一定期間継続
ポイントとしては、単に「退院」の可否に基づく評価ではないという事が挙げられます。
「退院」の可否は、患者が入院している施設側の目線に立った評価であることは否めず、またあくまでも入院期間における評価に過ぎません。
一方「地域移行」の達成は、患者が退院先に適応できるかどうか、そして患者を受け入れる側がケアを継続できるだけのQOLが保たれているかどうか、という二つの視点が加わります。
このように、後者すなわち本研究における評価基準の方が、より我が国の精神医療政策で求められている目的に合致すると考えられます。
特に、本研究では「公的医療費支払者」の立場からの分析を予定しています。そのため、医療政策の用語である「地域移行の達成」というアウトカムを用いるのが妥当と考えました。
更に、本研究では達成要件に作業療法士と精神保健福祉士の関与を加えていますが、その理由には2つ挙げられます。
一つ目に、本研究では副作用など薬物治療に関連する要因が地域移行達成に影響するかどうか、という点を評価する事を目的にしています。。二つ目に、これら介入はいずれも退院そして地域ケア継続の可否に関わる事が知られており、多くの精神科病院で実施されている介入でもあります。以上を踏まえ、達成要件にこれら介入の実施、という要因を加味する必要があると考えています。
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研究報告レポート(PDF版)
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