美しき寄生蜂「ヒメバチ」を再分類し、新種を記載したい!


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academistスタッフからの一言

日本のヒメバチの多様性を解明するために

子どものころからの昆虫好きが高じて分類学研究の道に進んだ菊地さん。「ヒメバチのシルエットが最高にかっこいいんです!」と語るその目はキラキラしていました。現在日本からはヒメバチ亜科に分類される78属270種ほどが記録されていますが、実際には1000種以上の存在が推定され、名前がつけられていない新種のヒメバチがまだまだ多くいるようです。一方でヒメバチ亜科の分類体系そのものにも課題があり、これから新種を記載していくためにも、世界レベルでの分類体系の再検討が必要です。多様なゆえに複雑なヒメバチの分類に挑む菊地さんのチャレンジにご注目ください!

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担当者:大塚美穂

ヒメバチの美しさに心奪われて

ヒメバチは、さまざまな昆虫やクモなどに寄生する「寄生蜂」と呼ばれるハチの一群です。寄生された宿主は最終的に死んでしまうため、宿主の自然界での重要な天敵となっています。現在私は、ヒメバチのなかでもヒメバチ亜科というグループの分類学的研究に取り組んでいます。

ヒメバチ亜科の宿主は蝶や蛾です。彼女らは宿主の幼虫や蛹(さなぎ)に卵を産み付け、成虫になると宿主の蛹を食い破って脱出します。ヒメバチ亜科の宿主には農林業上の害虫も含まれていて、害虫の天敵として利用するうえでも、ヒメバチ亜科は重要なグループです。

そんなヒメバチ亜科を研究対象に選んだのは、単に害虫の天敵として重要だから、というわけではありません。私は彼女たちの造形の美しさに心奪われてしまったのです。スラリと伸びた触角と脚に、バランスのよい腰のくびれ。光沢に富む漆黒、眩しいほどのメタリックブルー、鮮やかな橙色など、豊かな色彩も特筆すべき点といえるでしょう。

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裏山にも新種がいる?まだまだ未解明な日本のヒメバチ

研究を始めてみると、日本でこれまでに記録されている種は、実際に日本に分布している種のごく一部であることがわかってきました。現生のヒメバチ科は38亜科に分けられており、日本からは33亜科に含まれる1600種以上が記録されています。そのうち78属270種ほどが私の専門であるヒメバチ亜科に分類されています。この「78属270種」は日本の実際のヒメバチ亜科の多様性を反映しているのでしょうか。

ある地域の種数の概算方法として、よく解明された分類群の種数を比較することで、地域レベルの多様性を推定するという考え方があります。たとえば、昆虫相の解明度が極めて高く、およそ95%が解明されているとされる英国と比較をしてみます。英国からは58種の蝶が記録されているのに対して、日本には、230種程度の蝶がいるとされています。また、蝶と同じく研究が進んでいるトンボの場合は、英国43種、日本200種程度です。つまり、日本の昆虫の多様性は英国の約4〜5倍であると概算できるわけです。

では、ヒメバチ亜科の種数はどうでしょうか。なんと英国では、400種以上のヒメバチ亜科が記録されています。そうなると、日本のヒメバチ亜科は少なめに見積もっても1000種以上はいるのではないかと考えられます。実際の数字として、Platylabini族というヒメバチ亜科に含まれる族のひとつでは、日本から今まで知られていたのは15種でしたが、私のこれまでの研究で、約70種が分布していることが明らかになってきています(博士論文で分類学的再検討中)。

新種の発見、というと、遠い熱帯の未踏のジャングルや、遥か海底の深海生物の発見などがイメージされやすいかもしれません。しかし、ヒメバチ亜科には、まだまだ名前のついていないものが多いのです。街中の公園、裏山、大学のキャンパスの中でも、新種が見つかることは珍しくありません。

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世界レベルでの属の定義の再検討を進めたい

なぜ日本のヒメバチ亜科はこんなにも多くの未解明部分を残しているのでしょうか? 直接的な回答としては、日本のヒメバチ亜科の研究者が歴史上ほとんどいなかったから、といえます。北海道大学農学部の昆虫学教室2代目教授だった内田登一博士が、1920年代から1950年代にかけて多くの日本産ヒメバチ亜科に関する論文を発表し、多数の新種を記載しました。しかしそれ以降、ヒメバチ亜科を専門として取り組んだ研究者は日本には一人もいません。

なぜ研究者がいなかったのか。それは、種レベルの分類学的問題だけでなく、より高次の分類体系に問題が残っているのが大きな原因ではないかと考えています。種の記載を行うためには、どの属に所属するのかを明確にしなくてはいけません。ヒメバチ亜科は世界で430属以上を含む非常に大きな亜科です。しかし、それぞれの属の定義の検討は地域レベルでしか行われておらず、日本を含む東アジア地域では不十分なままです。研究を進めていくうちに、多くの種で、属の所属が曖昧になってしまうことに気づきました。整理が進んでいるヨーロッパ産種での基準で分類しようとすると、2つの属の中間としかいえない形質をもつものがいるのです。

つまり、世界レベルでの属の定義の再検討が必要と考えています。そのためには、世界の多くの属の模式種が含まれるヨーロッパのコレクションを検討する必要があります。また、属のみならず、その上の族も定義の再検討が必要であることがわかっています。これには、DNA情報を用いた高精度な分子系統解析が有効であり、ヒメバチ亜科に近縁な亜科で系統解析を行っているアメリカ自然史博物館のSantos博士と協力して解析を進める予定です。

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私が分類学研究者を目指した理由

私は幼少期から、みなさまがそうであるように(?)昆虫が大好きでした。その頃から、いつか新種を見つけて名前をつけてみたい、という夢がありました。しかし、それで生きていく、ということを考えたことはありませんでした。身の回りの大人に研究者という人たちがいなかったからです。

初めて研究者に出会ったのは、高3の夏休みにオープンキャンパスに行ったときでした。昆虫の研究をやっている研究室があると知り、オープンラボの見学に行ったところ、なんとその研究室はオープンラボに参加していませんでした。どうにか話を聞けないものかと研究室の前をフラフラしていると、親切な先輩が声をかけてくださりました。「うちの先生も蜂が好きだからきっと喜ぶよ」と紹介された先生は、目をキラキラさせながらすごい勢いで蜂の話をしてくださったのです。こんなに熱く語れることを仕事にできるなんていいなあ、と思いました。そしてこの出会いが、私がこの道に進む一番のきっかけになりました。

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継続的なご支援のお願い

実は私、来年度(2019年度)は博士後期課程の4年生として在学します。いわゆるオーバードクターになるのですが、現在の制度上、オーバードクターへの支援(奨学金制度等)はほとんどありません。多くのオーバードクターは実家からの支援やアルバイトで糊口(ここう)をしのぐ生活を送っています。

今回、academist Fanclubへのチャレンジをとおして、少しでもアルバイトを減らして研究時間を確保したいと考えています。また、先述のように、海外での標本調査も重要となってきます。このための渡航費にも、ご支援いただいたお金を使いたいと思います。ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

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チャレンジャーの大学院生に直接連絡をとることはご遠慮ください。共同研究のご依頼などは当社お問合せフォームからお願いいたします。

挑戦者の自己紹介

Profile

はじめまして、菊地波輝(きくちなみき)と申します。首都大学東京を卒業後、現在は北海道大学農学院の博士課程で昆虫学を専攻しています。子供のころから大の虫好きで、気がついたらここまできていました。専門はヒメバチ亜科の寄生蜂の分類学で、日本でも名前のついていないものが非常に多いグループです。みなさんの部屋に飛び込んできたその蜂も新種かも?

研究計画

以下のスケジュールで研究を進めていきます。

2019年1月 academist Fanclub 開始
2019年1月 執筆中の論文投稿(予定)
2019年3月 海外標本調査
2019年9月 昆虫学会発表(予定)
2020年1月 学位論文提出(予定)

リターンの説明

1,000円
(月額 / 税抜)

注目のリターン:活動報告閲覧権

  1. 活動報告閲覧権
1000

活動報告を支援者の皆様に限定公開します。研究の進捗や、世界の珍しい蜂の写真などを毎月お届けいたします!世界中の誰も知らない新種の情報も、どこよりも早くお届けできるかもしれません。応援よろしくお願いいたします!

現在、9人のサポーターが支援しています。

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