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カナ グレイス

ユニバーシティカレッジロンドン、名誉研究員

挑戦期間

2023/09/05 - 2024/08/30

最終活動報告

2024/08/17 15:35:22

活動報告

46回

サポーター

8人

経過時間

2023/09/05 10:00:00

挑戦者の自己紹介

カナ グレイス

こんにちは。ロンドン大学UCL名誉研究員、Kana Graceです。私はアメリカとイギリスの大学・大学院を卒業し、UCLで博士号を修了しました。オーティズムやADHDなどのニューロダイバージェンス(神経発達的違い)を専門に研究し、彼らとその家族のサポートやアドヴォカシーのための非営利スタートアップValtameriも運営しています。

私自身、多重ニューロダイバージェントであり、当事者と共に研究を作り上げるCo-productionに力を入れています。私の研究は、これまでイギリスBBCや科学雑誌Scientistなどで特集されました。

多様性に寛容でインクルーシブな世界そして日本社会を目指しています。

あなたが研究を通して成し遂げたいことはなんですか?

私の研究における究極的な目標は、ニューロダイバージェント(以下ND)者とその家族にとってより生きやすい場所へと世界を変革することです。

NDとは神経少数派を示し、オーティズムやADHD、トゥレット、ディスプラクシアなどが含まれます。ND者は2つ以上の診断をもっていることが多く(多重ND)、私自身も多重NDです。身体的な特徴がない hidden disability(隠れた障がい)であるため、ND者は偏見を持たれてしまいがちです。

たとえば、他者からの理解不足によって、オーティスティック者は仲間外れやいじめなどのネガティブな社会的経験をする可能性が高く、それらは孤独感につながる重大な問題です。

私は、ND者とその家族が受け入れられ、理解され、サポートされていると感じる世界を目指しています。そのために、ND者の声に耳を傾け、当事者が抱える孤独や困難に科学的根拠を提示し、社会におけるND者の受容と理解を向上したいと考えています。

どのようなプロセスで実現しようとしていますか?

博士研究では、オーティスティックの成人(AA)における孤独の理解を深めるための研究を行いました。

既存の孤独の尺度はどれも、一般人口向けに開発され、AAのために作られていません。そのような尺度をAAに使用することにはいくつか問題があります。たとえば、友だちについての項目がありますが、友だちという概念の理解はAAと非AAでは異なります。また、これまでの研究ではAAの孤独の経験はほとんど調査されていませんでした。

そこで私は、オンラインアンケートを使い、既存の孤独の尺度のAAへの適切性とAAにおける孤独の経験を調査しました。

AAの多くは他者との社会的関係を望んでいますが、そのような関係を築くのに複数の障害に直面します。その障害には、感覚的な環境(例:感覚的に刺激が多すぎて社交的な場面は耐えられない)や、社会におけるオーティズムの理解と受容の不足や、共通の理解や経験の不足(つまり理解されない、または誤解されてしまう)などがあります。AAの経験する孤独のユニークさは、人と繋がりたいという気持ちとそれを実現することが困難であるというジレンマにあります。

このように私の博士研究結果の一部として、AA当事者の声に耳を傾けることの重要性が示されました。今後は音声を書き起こすOtter/Parrot AIを活用し、ディスレクシアなどによって会話のみでの理解が難しいND者が研究に参加しやすい環境を作る配慮が考えられます。

また、ND者への理解の欠如は、孤独やサポート・サービスにおけるネガティブな経験に繋がる深刻な問題です。そこでND者への理解向上のため、研究発表や講演会も積極的に行っています。

現在取り組んでいる研究課題はなんですか?

現在は、ND者のウェルビーイングに関する複数の研究課題に取り組んでいます。

オーストラリア最大のオーティズムチャリティー(Aspect)の研究パートナーとして、私の博士研究結果に基づき、孤独の尺度を当事者らと共にAA向けに作り替え、尺度の使用可能性を因子・相関分析などの統計的検定にて評価する研究を進行中です。

また、共同研究者としてその他の研究にも取り組んでいます。例えば、現在AAの自殺に関する研究計画を立てたり、英国の60以上のND関係チャリティーや研究所の連合体であるEmbracing Complexity(複雑性の尊重)の運営メンバーとして、ND者の理解と科学的根拠に基づいたインクルージョンを目標に研究計画を行っています。

さらに、当事者・メンターとしても実感することですが、ND者の多くは身体的健康問題を抱えています。そのため、ND者における身体的健康問題にも取り組んでいます(例:結合組織疾患)。

なぜacademistに挑戦していますか?

英国を拠点に研究をしてきて、日本のND者への理解・支援の欠如と遅れに愕然としました。academistに挑戦したい最大の理由は、世界最先端のND肯定的研究と科学的根拠に基づくND者に関する知識を日本社会で広めたいからです。正しい情報の普及はND者への偏見を減らし、彼らとその家族にとってより良い社会にするために不可欠です。academistのプロジェクトに挑戦し、私の研究と知識を日本の多くの方々と共有し、最終的には日本におけるND者への理解を向上したいです。

無給の名誉研究員として、個人での研究活動は限られています。アカデミストからの経済的支援は、主に科学に基づく知識の普及活動に充てたいです。たとえば、さまざまな聴衆向けの定期的な講演会の開催や、Youtubeでの無料教育動画の配信に時間を割くことが可能になります。私が英日の同時通訳を行い、英語圏の研究者をゲストに招いた講演会も予定しています。支援額が¥20,100に達した時点で、Zoomプロに年間登録(¥20,100/年)をして定期的なZoomでの講演会を開きたいと考えています。

推薦者コメント

ルーク・バードン博士
シェフィールドハラム大学上級講師

幸運にも、私はカナのオーティズムのPgCertを指導しただけでなく、数年後、オーティズムと孤独に関する彼女の優秀な博士論文の外部審査員を務めました。できる限りの方法でオーティスティックコミュニティにポジティブな影響を与えようとするカナの揺るぎない決意に、私はいつも、感銘を受けてきました。長年、多くの人と仕事をしてきましたが、進行中のオーティズム運動に不可欠であると私に強く印象付けた人が何人かいます。カナはその一人です。

ヴィッキー・ギブス博士
Autism Spectrum Australia研究部長 兼 シドニー大学非常勤准講師

社会における偏見や差別は、オーティスティック者を排除し、孤立させる可能性があります。オーティスティック者の孤独を調査したカナの博士号は、この重要なテーマに光を当て、この分野でのさらなる研究と、オーティズムへの意識を高め、世界をオーティスティック者にとってより良い環境にするための協力の必要性を強調しました。日本の前向きな変化の原動力となるというカナの計画を聞いてワクワクしており、彼女の進歩を見守るのが楽しみです。

熊谷晋一郎博士
東京大学先端科学技術研究センター・准教授

インクルーシブな社会の実現には、社会環境が一部の者向けに偏って設計されているという社会モデルの視点に立って、多様な人々のアクセスが保障されたものに変革する必要があります。また、Nothing About Us, Without Usの理念に基づき、変革のプロセスをマイノリティ当事者が主導する必要があります。本活動は、社会モデルに基づき、ニューロダイバージェント者のウェルビーイング向上を目指す当事者主導の研究・活動として、期待できます。

ノヴァ・マティアス
スペシャリストメンター・チューター

ニューロダイバージェント者が経験する世界と彼らがもたらす豊かさ・多様性をより深く理解することは極めて大切です。そのために、彼らが直面する課題を認識し、彼らにとって適切なサポートを認識することが重要です。カナは、ニューロダイバージェント者とその家族の生活を向上し、彼らに声を与えるという長期的なコミットメントを持っています。カナの博士研究と今後の研究は共に、ニューロダイバージェント者をより適切にサポートするための洞察を得る上で不可欠です。

研究計画

時期 計画
2023年9月 アカデミストPrizeプロジェクト開始
2023年9月 AAの自殺に関する研究始動
2023年9月 UCL Co-Production CollectiveコミュニケーションチームとしてCo-Prodcutionの推進活動を開始
2023年9月 Embracing Complexity始動
2023年10月 Zoomでの講演会を開催
2023年10月 エーラス・ダンロス国際学会
2023年10月 博士課程の質的研究の論文を提出
2023年11月 Zoomでの講演会を開催
2023年12月 対面での講演会を開催 @沖縄科学技術大学(OIST) 
2023年12月 Zoomでの講演会を開催
2023年12月 AAの自殺に関する研究終了
2024年1月 Zoomでの講演会を開催
2024年2月 Zoomでの講演会を開催
2024年3月 対面での講演会を開催 @沖縄科学技術大学(OIST) 
2024年3月 Zoomでの講演会を開催
2024年4月 Zoomでの講演会を開催
2024年5月 ポスドク申し込み?
2024年7月 エーラス・ダンロス国際学会
2024年12月 AA成人の孤独の尺度に関する研究論文提出

リターンの説明

330 円/月 (税込)

注目のリターン : 活動報告閲覧権

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募集は終了しています

0人が支援しています。

(数量制限なし)

1,100 円/月 (税込)

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3,300 円/月 (税込)

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