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Machii Nagatoshi

東京工業大学、博士後期課程一年

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学際的研究における葛藤・矛盾:『越境したいけど、したくない』(正司)

今回は私たちの活動に興味を持ってくれ、読書会に参加してくれた正司さんに学際に関する記事を書いてもらいました。それではどうぞ(by待井)。

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文理融合教育に関する教育・学習研究をしている正司と申します。具体的には、専門性と学際性の統合を目指す教育実践の開発と評価について研究してます。

今回は、「第7章:「他者の関心に関心を持つ」ということ」を扱い、4人で読書会を行いました。
7章の筆者である萩原氏は、「他者の関心に関心を持つ」という文脈で、「遊び心のある精神」(ミルズ、2017: 354)が重要であると述べていました。
まさしくそうである一方、研究業績を稼がないといけない大学院生を想定すると余裕がある人ではないとなかなか持てない精神なのでは思いました。私は、文理融合教育に関する教育・学習研究をしている中で、どのように自身の専門分野と学際性を両立しているかを分析していると、やはり業績・成果物を求められることはかなりの制約として課せられていることが垣間見えます。これは私自身も感じていることでもあり、文理融合教育や学際教育について研究しているのにも関わらず、『越境したいけど、したくない』葛藤・矛盾を抱えています。

一方で、それを含めて研究で「遊ぶ」という精神も、専門性と学際性を統合するという観点ではあり得ると思います。また、その関連で議論の中で出てきた、「越境するメリットを受け取るためには、もちろんそれ相応のデメリットがあり、それは甘んじて受け入れなければならない」という『責任ある遊び』のような考え方も非常に面白いと思いました。

このように、「遊び」一つとっても、そのメリット・デメリットは各個人によってどのように認識され、行動されるかは深掘りする価値があると思います。また、Engestromやベイトソンが言うような葛藤・矛盾(ダブルバインド)は、やはり学際の中核的な概念になるようにも思います。以上です。 

待井 長敏 Wed, 13 Mar 2024 16:24:40 +0900
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