Challenge period
2023-07-05 - 2025-03-31
Final progress report
Thu, 11 Jul 2024 14:15:14 +0900
Progresses
10 times
Supporters
12 people
Elapsed time
Wed, 05 Jul 2023 10:00:00 +0900
前回の活動報告から随分と時間が経ってしまいました。本業がやや多忙であったことと、お盆を挟んだ夏休み期間中であったことなどが理由ですが、冬に向けて、今夏やこれから秋にかけて仕込んでいる話を展開させていただくということで、多めに見ていただければと思います。
さて、前回の活動報告において、アカデミストさんでクラウドファンディングを開始させていただくにあたって感じたことをいくつか述べさせていただくとしておりましたが、今回は、「国家公務員はお金を稼いでいいのか」について書かせていただきます。
さて、国家公務員とは、平たく言えば、国民全体の奉仕者として国全体に関わる業務を行う公務員です。私は文部科学省の職員でもあります(現在は、専ら京都大学に勤務しています)ので、一般職かつ常勤の国家公務員ということになります。ここでいう一般職とは、内閣総理大臣をはじめとする特別職ではないという意味であり、いわゆる総合職と一般職(かつてはキャリア、ノンキャリヤや、Ⅰ種、Ⅱ種、Ⅲ種など)といった区分ではありません。
そして、国家公務員は、その職務を円滑に遂行したり、公益にふさわしくない行為を行ったりすることがないよう、国家公務員法により様々な権利や義務が規定されております。今回、私がもっぱら大学教員として(文部科学省職員としても)クラウドファンディングを開始する際には、基本的に国家公務員法との関係での整理が必要となりました。ちなみに、国立大学法人の職員(教員)は、いわゆるみなし公務員ということになりますので、京都大学とも整理をする必要がありました。
特に整理が必要なことは、国家公務員としての服務遵守という文脈であり、職務専念義務(職務遂行に全力を挙げて専念する必要があること)、秘密保全義務(職務上知りえた秘密を漏らしてはいけないこと)、私企業からの隔離等(兼業や副業の実質的な制限)あたりの法律に基づく規定と、クラウドファンディングを行うことやこれによって得たお金を大学における教育研究活動に使用することについての関係性の確認ということになります。
ちなみに、兼業とは、営利企業の役員を兼ねること(これはダメです)や自営業(駐車場等の不動産の賃貸や農業など、これらは承認手続きを得れば行うことができます)のことを指し、副業とは、労働の対価としての報酬を得て事業等を永続的又は定期的に行うことを言いますので、私の場合は、クラウドファンディングでお金を得る等の観点から副業との関係での整理が必要ということになります。
文部科学省や京都大学の関係部署等と丁寧に調整をさせていただいた結果、職務専念義務や秘密保全義務との関係では、特に抵触しない(クラウドファンディングで得たお金を活用するかどうかによらず、大学において教育研究活動を行うことに変わりはないため)との整理で理解を得ることができましたし、副業との関係については、クラウドファンディングで得たお金はすべて大学に振り込まれて、大学の教育研究活動を展開するための適切なルールの下で使用されるという仕組みにしていただいたことをもって、労働の対価としての報酬を個人が得るのではなく、あくまで教育研究活動に必要なお金を教育研究活動に使用するため、いわゆる許認可手続きを要する(国家公務員法第104条に基づく)副業ではないという整理にて理解をいただきました。
私自身が知る限り、あるいは関係者の知る限りではありますが、いわゆる霞が関の中央省庁の国家公務員がクラウドファンディングでお金をいただくという行為は初めての試みだったようです。よって、今後同様のチャレンジを試みる方々に対して、これ自身を記録として残す意味はあると思いましたので、ここに書かせていただくことといたしました。
引き続き、あと数回は序章として書かせていただく予定ですが、次回は、予定通り、「国家公務員は教員足りえるのか」、さらにその次は、「つなぎ人材は国家公務員だけじゃない」といったテーマで書かせていただこうと思います。