Challenge period
2022-11-01 - 2027-10-31
Final progress report
Sun, 14 Sep 2025 00:44:44 +0900
Progresses
63 times
Supporters
36 people
Elapsed time
Tue, 01 Nov 2022 10:00:00 +0900
このプロジェクトではいろいろ副産物が生まれています。
その一つが、プロジェクトエコノミーに関する気づきでした。
2023年に提出した博士論文では1100ほどの非営利組織のデジタルファンドレイジングについて研究したのですが、様々な他の要因をコントロールしたとしても、寄付募集キャンペーンを実施している組織は累計寄付金額が大きい、ということが示されていました。
寄付募集キャンペーンは、一種の「プロジェクト」です。
プロジェクトとは、期間が決まっており、何らかの新規の要素があり、人や資金の投資を必要とし、それによって成果物を生み出して価値を実現するものです。
プロジェクトと対比される概念として、オペレーション(日々の運営)があります。
私はどちらかというと(自分の体験から)寄付募集のオペレーションに着目していたのですが、その後の研究で、寄付募集のオペレーションが固まっている組織はむしろ少数派なのでは、と思うようになりました。
これから寄付募集に本格的に投資する、という団体にとっては、その活動をスタートすることそのものが一つのプロジェクトです。
変化の激しい時代、組織を変革するためのプロジェクトマネジメントが、組織の生き残りを左右するような時代になってきました。
このような状態を「プロジェクトエコノミー」と呼び、これまでのように決まった作業を継続することで価値が生み出されていた経済(オペレーションエコノミー)との対比で語る記事もあります。
https://hbr.org/2021/11/the-project-economy-has-arrived
寄付募集をオペレーションではなくプロジェクトとして考えることは、制約理論(TOC)をどのように応用するかにも関わる重要な問題であり、アクションリサーチの成功確率を高めることにもつながります。
・米国のように多くの組織が既に寄付募集を行っている国では、寄付募集がオペレーションになっている
・日本のように寄付募集に新たに取り組む組織が多い国では、その立ち上げが一種のプロジェクトになる
ということで、異なる理論・研究・実践が必要とされるのだろうと思います。
今後も、こうした発見をacademistの場で共有していきたいと思います。