博士課程のときに「パーソナリティの実在性」(パーソナリティは存在するのか?)に悩んだことをきっかけに、心理学論に足を踏み入れました。心理学論だけでなく、恋愛の研究や婚活の研究もしています。
「(恋愛の)心理学をしています」というと、「心読まれそう〜」とか「じゃあ、モテモテですね」とか言われますが(あるある)、もちろんそんなわけはなく、そもそも私自身は「心」に対してそのような見方(心が個人の中にある)をしていません。心理学者の仕事は、「「心」の問題と思われているものが、実は「心」の問題ではないんだよ」と言うことだと思っています。
心理学がどのような根拠で、どのように成立しているのか、心理学の研究法に着目して明らかにしたいです。
「心」をあつかう学問は心理学にかぎらず様々あります。たとえば、哲学、精神医学、社会学などです。そのほかにも色々あります。ただし、心理学は「心」の科学を自称し、その専門家を世の中にたくさん送り出してきました。ですが、そのような現在の心理学に対して、心理学は科学ではないという批判、心理学の現存の方法では「心」を捉えきれないという批判、心理学の「心」は人工物(心理学が作り出したフィクション)であり、人間の「心」の理解を誤った方向に導いているという批判など、たくさんの批判があります。それらの批判の多くに、現在の心理学はうまく答えられていないのではないかというのが私の疑問です。
このような批判に応じる一つの方法は、心理学研究法に根拠をもたせることであると考えています。たとえば、心を観点Aから捉えるのであれば心理学的測定は可能、他方、心を観点Bから捉えるのであればインタビュー調査が適しているなどです。以上のように、心理学研究法の根拠(成立過程)をしっかりと位置づけたいと考えています。
研究会運営を通じて明らかにしようと考えています。
心理学研究法の根拠を位置づけるためには多様な観点からの検討が必要です。したがって、様々な研究テーマ、専門領域を持つ方々に研究発表を依頼し、発表内容を勉強させてもらったり、関連する文献の読書会を開催して勉強したりしながら、心理学研究法の根拠を考えていきたいと思っています。これまでは、「心理学的概念の性質」「心理学的測定の特徴」「心理学的に「心」を捉えることの前提条件」などをテーマに研究会を開催してきました(過去の開催記録はこちらから:https://shinchology.net/digroom-meeting/)。
これからもこのような心理学論と呼ばれる営みに関するテーマを中心に研究会を開催していきます。なお、心理学論とは、簡潔に言えば、心理学に対する批判的検討や、批判的自己内省を総合した学問的営みです。今後の研究会のテーマとしては、「心理学研究法の歴史」「心理学研究法の哲学的背景」「心理学以外の分野の研究法と心理学分野の研究法の差異(比較)」というようなテーマを軸にして、各研究会を開催していきます。
心理学研究法の中でも、私自身は特に、心理学的測定法に着目して、「質問紙調査で「心」(満足度など)が測定できていると言える条件とは何か」「そのときの「心」とはどのような性質のものなのか」を主に検討しています。
このような検討をしっかり行うためには、心理学的測定法を含めた心理学研究法の歴史(どのような経緯で特定の心理学研究法が作られたのかなど)や、科学哲学(「心」は実在するのか否かなど)に関する知見が必要です。加えて、他分野における研究法を参照することで、心理学研究法の特徴がより明確になると考えられます。そのため、これらの知見を勉強するために、上記で記したような研究会を運営したいと考えています。
1年間で私自身で明らかにできることとしては、「ある哲学的立場から捉えたときの心理尺度の位置づけ」です。具体的な内容は研究そのものに踏み込んでしまいますので、詳細は書けませんが、「立場Aからみると、心の測定という営みは〇〇をしていることになるのではないか?」という問題提起です。
研究会を運営するため、研究会活動を広く知ってもらうためです。
第一に、研究会を運営するには、講師謝礼、会場費、資料費など、諸経費がかかります。これらの費用は月単位で見ればそこまで大きな金額ではありませんが、年間を通して考えるとそれなりの金額になります。持続的に、かつ、内容を充実させた研究会を運営していくことを踏まえると、支援金の存在は大変ありがたく思いました。そのために今回、クラウドファンディングに挑戦することにしました。
第二に、研究会活動を知ってもらうためです。現在、研究会活動は基本的にオープン(誰でも参加可能)で実施しています。なぜなら、テーマに関心を持つ人が多様な観点から議論することで、これまでとは違う着眼点が得られると考えているからです。そのような多様な人が参加できる基盤をつくるためには、研究会の存在を知ってもらう必要があると考えました。また、研究会がどのような活動をしているかを知ってもらうことで、研究会の目的もブレにくくなり、有意義な研究会運営が可能になると考えました。
以上が、クラウドファンディングの挑戦を決めた主な理由です。
Date | Plans |
---|---|
2022年1月 | 月額支援型クラウンドファンディング 開始 |
2022年3月 | 日本発達心理学会大会にて発表(予定) |
2022年8月 | 論文(その1)投稿(目標) |
2022年9月 | 日本心理学会大会にて発表(予定) |
2023年3月 | 論文(その2)投稿(目標) |
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