こんにちは。渡部綾一 (わたなべりょういち) と申します。京都大学の博士後期課程で意識の発達を研究しています。「わたしとは何か」「生きるとは何か」「世界とは何か」といった主観的な問いを子どもの時からずっと考えてきました。年齢が上がり経験を経るに伴い、これらの問いに関する私の意識体験や考え方、仮説は変わってきました。この意識の発達のおもしろさに魅了されて、研究を始めました。研究以外では、療育スタッフや塾講師をしながら、一人ひとりの子どもたちが、それぞれの意識体験を持っていることを経験してきました。子どもたちが見ている世界、感じている世界を皆さんと共有したいです。応援宜しくお願いいたします!
私が研究を通して成し遂げたいことは、子どもが生きやすい社会にすることです。そのために、意識と意識を生み出す神経メカニズムの発達を明らかにしようとしています。意識とは、主観的に感じることやその内容を意味します。既存の意識研究は、主に成人を対象として行われてきました。それらの結果から、意識は、注意能力や記憶能力などの「認知機能」と関係があり、認知機能を司る前頭葉や知覚を司る後頭葉などの「脳構造や脳ネットワーク」と関係があります。しかしながら、意識と意識の神経メカニズムの発達は明らかではありません。「認知機能」や「脳構造や脳ネットワーク」は、赤ちゃんが大人になるまでに、著しく変化します。その変化に伴い、意識も変化する可能性があります。幼児期健忘や空想の友達など、特に3-6歳の幼児期には、成人とは異なる不思議な意識体験があります。このような大人とは違う子どもの意識の知見を社会に発信することで、子どもの行動や心の正しい理解が得られ、大人の勘違いや知識不足で、子どもが理不尽に怒られ、傷つくことを減らしたいと思っています。
私は、意識と意識の神経メカニズムの発達を、3~12歳の子どもと成人を対象に、実験室やオンラインの心理学実験と神経活動計測を組み合わせることで、解明したいと考えています。本研究では、成人での研究が進んでいる視覚的意識に焦点を置いています。バックワードマスキング法などによって、主観的に刺激が見える条件と見えない条件を作ります。その際の、刺激の判別課題 (何が見えたか) の成績を客観指標、主観的な見えの報告 (見えなかった~はっきり見えた) や確信度 (回答への自信) を主観指標、脳波や脳血流動態を神経指標として、3指標および3指標の関係がどのように発達するかを明らかにします。また、視覚刺激に幾何学図形や色、動物や乗り物、風景画像など、さまざまなものを用いることによって、意識の生じ方の違いや、意識が持つ情報量の大きさなどの発達的変化を明らかにしたいと思っています。視覚的意識の発達の知見を他の感覚に拡張することや自己意識との関係を検討することで、包括的に意識の発達の解明に挑戦します。
現在、上記のプロセスの第一歩として2種類の研究をしています。1つ目に、5-12歳の子どもと成人の幾何学図形 (□や◇など) やカテゴリー化 (画像が動物か乗り物かなど) における視覚的意識と神経メカニズムの発達を主観・客観・神経指標から検討しています。どのくらい短い時間 (1秒の1/100~1/10の早さです!) の画像を見ることができるか (主観指標) やそれが何かを判断できるか (客観指標) を、パソコンの実験を使って、子どもと大人に行ってもらっています。その際に、脳波計によって、見えたときと見えなかったときの脳波 (神経指標) の違いを調べています。2つ目に、5-12歳の子どもと大人の一瞬の視覚体験の豊かさや鮮明さの発達を検討しています。日常の写真を一瞬見た後に、あったものとなかったものをどのくらいたくさん判断できるか (情報量) を、オンライン実験を使って、子どもと大人に行ってもらっています。
意識の発達研究は、前例がほとんどない新しい分野であり、これから研究業界だけでなく、一般社会にも発信していく必要があります。また、本研究プロジェクトにより、少しでも、大人が子どもの意識に興味を持つことで、子どもが勘違いされて理解されることが減り、子どもが生きやすい社会に近づくと考えています。そのためには、意識の発達研究の知見だけでなく、私が研究を真剣に行っている姿や信念も伝えることが重要であると考え、クラウドファンディングに挑戦しています。また、私は、大学院の授業料と生活費に加え、書籍費や電子機器、学会会費などの研究費を払うためのアルバイトで、博士課程1年の半年は、研究時間を確保できない日々が続きました。これから始める脳波研究や国際会議発表にも資金が必要です。学部と修士で借りた奨学金の返済と国民年金を払う余裕もありません。同じ状況で苦しんでいる大学院生や若手研究者もいると思います。新しい研究生活スタイルとして、クラウドファンディングに挑戦しています。
時期 | 計画 |
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2021年9月 | 意識の発達研究 (情報量) のレジレポ論文を投稿 |
2021年11月 | 意識の発達研究 (行動) の論文を投稿 |
2022年1月 | 意識の発達研究 (脳波) の予備データ取得 |
2022年1月 | 発達分野の国際会議 (BCCCD) で発表 |
2022年2月 | 意識の発達研究 (情報量) の本データ取得 |
2022年2月 | 意識の発達研究 (色) の予備データ取得 |
2022年3月 | 意識の発達研究 (処理水準の行動) の予備データ取得 |
2022年4月 | 意識分野の国際会議 (CoRN) で発表 |
2022年5月 | 意識の発達研究 (脳波) のレジレポ論文を投稿 |
2022年5月 | 意識の発達研究 (処理水準の脳波) の予備データ取得 |
2022年6月 | 意識の発達研究 (情報量) の論文を投稿 |
2022年6月 | 意識の発達研究 (色) のレジレポ論文を投稿 |
2022年6月 | 意識分野の国際会議 (ASSC) で発表 |
2022年6月 | 発達分野の国内会議 (赤ちゃん学会) で発表 |
2022年7月 | 意識の発達研究 (処理水準) のプレレジ論文を投稿 |
2022年7月 | 神経科学分野の国内会議 (神経科学会) で発表 |
2022年8月 | 意識の発達研究 (情報量と意識内容) の予備データ取得 |
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