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心を再定義するー心の行動抑制ネットワーク理論で平和な社会作りに貢献する

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Toru Moriyama
信州大学、Associate Professor
Pledged: 500,000 JPY
Target Amount: 500,000 JPY
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【募集期限直前のメッセージ】クラウドファンディングで充実の日々!

 みなさまのおかげで、all or nothing型のクラウドファンディングらしい、充実した募集期間を過ごすことができています。ありがとうございます。
 私たちの成し遂げたいことをもう一度みなさんへお知らせし、明日14日17時の募集期限を待ちたいと思います。本プロジェクトにご関心をもっていただき、長い目で見守っていただけるとたいへんうれしいです!

 私たち「モノの心の研究会」は、「BINとしての⼼は万物に存在する」ことを様々な学術的視点、そして⼀般社会的視点から検証する活動をとおし、「あらゆる存在が、区別はされるものの決して差別されてはならない」というメッセージを社会に向けて発信します。そして、研究者集団だけでなく、社会の様々な関連組織と協⼒し、「あらゆる存在がその個性を許容し合い、だからこそ衝突は不可避であるが、決していがみ合わない社会」の構築を⽬指します。

 心をBINとして再定義する試みを通し、平和な社会作りへ貢献したいと思います。
 よろしくお願いいたします!

 モノの心の研究会主宰・信州大学 森山徹

Toru Moriyama / March 13, 2024
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あと7日を残し、目標金額の71%を達成!

みなさま、応援くださりありがとうございます。
達成目前となってきました。
少々長い文章もありますが、「活動報告」には、本プロジェクト、また、モノの心の研究会の魅力を感じていただける内容を満載いたしました。
ぜひご一読ください。興味をもっていただけるとうれしいです。
よろしくお願いいたします!

Toru Moriyama / March 07, 2024
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BIN理論で読みとくダンゴムシの行動

藤本・見山実験の結果を復習すると、
・ダンゴムシ数十匹に「40cmの直進+T字路選択」という試行を約50回与えた。
・すると左右の「交互選択」ではなく、左右どちらかの「繰り返し選択」を続けた。
・予備実験は、40cmの直進により、左右二列の脚の運動量差がキャンセルされていることを示唆。
・なのに、ダンゴムシは、左右五分五分の選択ではなく、「繰り返し選択」を続けた。
・また、「交互選択」を、短い期間ではあるが、続けるダンゴムシもいた。
・これらの選択には、「脚の運動量の差」とはちがう仕組みが必要。
・ダンゴムシは、大脳をもつラットのような「記憶」や「意志」の仕組みを備えるかもしれない。
でした。

もちろん、他の説明も考えられます。

1.「繰り返し選択」は、ダンゴムシそれぞれの「曲がり方の癖」の現れである。
・左右二列の脚の運動量差がキャンセルされると、各ダンゴムシがもっている右、あるいは左へ偏って
 曲がる癖が露わになる、という考えです。これは妥当な仮説でしょう。
2.短い期間の「交互選択」は、脚の運動量差のキャンセルが偶然うまく働かなかったことによる。
・これも、妥当な仮説です。

なんだか論文を一本書けそうな気がしてきました。
・・・閑話休題。

 ダンゴムシの新たな迷路実験では興味深い仮説を得ることができました。
この実験結果をBIN理論の観点でながめるとどうなるでしょう。

 注目されるのは、「短い期間の交互選択」の出現です。

 この現象を俯瞰して眺めると、ダンゴムシは「『繰り返し選択』と『交互選択』を繰り返した」ことが見えてきます。
 「交互選択」「繰り返し選択」のいずれも、特定の行動であることには変わりありません。
従って、それぞれの仕組みはBGM(行動生成モジュール)と言えるでしょう。
 このBGMをゆらがせ、時には他のBGMと入れ替えてしまう能力。それがBINの特徴でした。

 「交互選択」「繰り返し選択」の生物学的な意味はさまざまでしょう。一方、そのような意味を無効にしてしまうのがBINです。
 藤本・見山実験でも、BINの特徴が顕著に現れたと予想されます。
 まだ簡単にですが、「交互選択」と「繰り返し選択」の切り替えのタイミングを解析すると、でたらめではないことが見えてきました。この予備的結果は、切り替えがBINによるものであることを期待させます。

 行動や現象の意味を考えることは大事なことです。一方、その意味がどこから来るのかを、BIN理論は考えるのです。

Toru Moriyama / March 03, 2024
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ダンゴムシはラットの夢を見るか?

 さて、藤本さんと見山くんの実験の詳細です。

・ダンゴムシは、図の左の迷路の①に置かれると、真っすぐ40cm進んで②のT字路に達します。
・図は、ダンゴムシが右に曲がった場合を示しています。
・実験者は、ダンゴムシが③に達する前にストッパー(黒)を設置します。
・するとダンゴムシは右折してもう一つの40cm通路に入ります。
・実験者はすぐに中央のストッパーを入れ替え、ダンゴムシを④のT字路へ導きます。
・図は、ダンゴムシが④で右に曲がった場合を示しています。

 以上の操作を繰り返して「40cm直進しT字路にぶつかる」という試行をダンゴムシに50回与えます。
そして各T字路で左右どちらに曲がったかを調べます。
 この50回の試行に概ね2時間もかかるのです!まさにダンゴムシとの根競べです。辛いのは、途中でダンゴムシが止まってしまう場合です。30回を超えればまあデータとして使えますが、それより少ないとボツ・・・。それでもめげずに二人は実験を続け、数十匹分のデータを得ました!

 ところで、ダンゴムシはT字路に連続して遭遇すると、左右交互に曲がる習性をもっています。ただし、この実験装置のように、一度曲がった後に40cmも直進させられると、次のT字路では逆、同方向、ほぼ同じ確率で曲がるようになります。このことは、藤本さんと見山くんが事前に実験で確認しています。

 一方、ねずみの仲間のラットは、一度曲がった後に多少時間を空けても、もう一度T字路を与えると、逆方向に曲がります。

 ラットとダンゴムシの違いは何か?

 ラットは、事前の転向方向を大脳で「記憶」して、次のT字路では「さっきとは逆に曲がろう」という「意志」が働くと考えられています。
 一方、大脳のないダンゴムシには、「記憶」や「意志」はないと考えられています。代わりに、T字路を曲がって左右二列の脚の運動量に差が生じる(インコーナーは多く、アウトコーナーは少ない)と、それを逆にするようなスイッチが働くと考えられています。

 ところが、一度曲がって40cmも真っすぐ歩くと、脚の運動量の差はなくなり、次のT字路では左右同じ確率で曲がると考えられています。
 一方、ラットは「記憶」と「意志」が保たれているので、一度曲がったあとに少々時間が経っても、次のT字路では逆方向に曲がれると考えられています。

 藤本さん、見山くんの実験では、50回ほど「40cm直進+T字路選択」をさせられたダンゴムシは、左右同じ確率で曲がるのではなく、「左、あるいは右方向ばかりに曲がる」ようになりました。

 40cmの直進で脚の運動量の差がキャンセルされるならば、左右に曲がる確率は同じなはずです。では、同じ方向に曲がる確率が高くなるのはなぜでしょうか?

 ダンゴムシは、事前の転向方向を「記憶」して、次のT字路では「さっきと同じ方向に曲がろう」という「意志」を働かせるのでしょうか。であれば、ダンゴムシはラットと同じような「記憶」と「意志」の仕組みをもつことになります。

 加えて興味深いことは、同方向に曲がるようになるダンゴムシですが、時折、左右交互に曲がる頻度を非常に高くすることがあります。
 図の右側のグラフは、左右に曲がる確率の時間変化を表しています。矢印の区間では、左右に曲がる確率が急上昇して90%にまで達しています。これも「記憶」と「意志」の働きなのでしょうか?であれば、ラットと同じ仕組みで交互に曲がっていることになります。

 ダンゴムシに「記憶」と「意志」はあるのでしょうか?これを明らかにするには、更なる実験が必要です。今のところ、「ダンゴムシはラットの夢を見ているかも」と言えるかもしれません。

Toru Moriyama / March 03, 2024
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あと13日を残し、現在目標金額の68%です!

ご支援くださりありがとうございます。
このファンディングの挑戦が始まってから、知り合いの方、そして、新しくこの研究を知ってくださった多くの方からご声援をいただきました。
心の行動抑制ネットワーク仮説が多くの人に届けられていることを実感し、とてもうれしく思います。

研究室の学生の卒業論文研究、修士論文研究がちょうど終了しました。
その内容は大変興味深いので、明日から詳しく報告しようと思います。

学部4年生の藤本彩日さんと修士2年生の見山裕太くんは、以前紹介した「自動回転式T字迷路」ではない迷路で、ダンゴムシに数十回、T字迷路を経験させる方法を考案しました。
ただし、この方法では、実験者は一回の実験で2時間程度ずっと迷路を手作業で操作する必要がありました!

装置と方法の概略は図のとおりです(つづく)・・・

Toru Moriyama / March 02, 2024
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論文「行動抑制ネットワークとしての心」その4(最終回)

本研究の限界と結論

 本稿では、私たちが日常生活で抱く心の印象は予測不可能性であり、その源泉はBINであるという新たな視点を追加提案した。BINは、動物の行動に広く観察される内因性のゆらぎの発生源の有力な候補である。また、「動物の生得的行動と創発行動」の項で紹介したアリやダンゴムシ、ハゼの実験例のように、行動のゆらぎを生み出す能力が、未経験の状況での創発行動を生み出し、動物の生存に役立っている。

 著者らは幅広い動物における創発行動を例示したが、それは「単純な」動物に限られた。BINの普遍性を検証するためには、ヒトを含む哺乳類のような複雑な動物を対象としたさらなる研究が必要である。

 BINの本質に迫ることは、予測不可能性の源泉としての心がすべての生物と物質に存在することを明らかにするだけでなく、すべての生物と物質が創発現象を生み出す創造性を持っているという新しい世界観をもたらす。

以上

出典:Moriyama T, Sonoda K, Saito H and Migita M (2020) Mind as a Behavioral Inhibition Network. Front. Psychol. 11:832. doi: 10.3389/fpsyg.2020.00832

Toru Moriyama / February 23, 2024
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論文「行動抑制ネットワークとしての心」その3

 動きの少ない植物に心(BIN)を想定できるのであれば、石のように動かない物質にも心(BIN)を想定できるかもしれない。次の研究は、石が少なくともBGMのようなモジュールを持っていることを示唆している。

 ヨーロッパの石器職人は、火打石と呼ばれる岩石をハンマーストーンで何度も叩いて石器を作る。経験を積むと、石の特定の場所に必要最小限の力を加えることで、目的の形の薄片を割り落とすことができるようになる(Nonaka et al., 2010)。つまり、火打石は特定の場所に一定の力を加えると、特定の形状の薄片を生み出す。この現象は、ダンゴムシが左に曲がってから右に曲がるのと同じである。

 すなわち、火打石にはBGMのようなモジュールが含まれていると考えられ、それぞれのモジュールは、任意のヒットポイントで特定の大きさの打撃力を刺激として受け取り、特定の形状の薄片を生成するという行動を生み出す。個々の石を構成するこれらのBGM様モジュールは、シュートの例のようにネットワークを形成する。したがって、石もBINのような構造を持っていれば、未経験の状況で創発的な現象を生み出す可能性がある。著者らは現在、石やガラスなどの物体に未経験の状況を与え、そこから創発現象を導き出す方法を模索している。

次回(最終回)へ続く・・・

Toru Moriyama / February 23, 2024
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論文「行動抑制ネットワークとしての心」その2

 ネナシカズラはつる性の寄生植物である。つるを伸ばして宿主植物に到達すると、体に巻きつき、寄生根を宿主の維管束に挿入し、水と養分を吸収する。ある実験では、複数の植物がネナシカズラによって橋渡しされた。これらの宿主植物のひとつが昆虫に食害されると、被害植物から非被害植物に信号が伝達され、非被害植物は昆虫に対する防御反応を準備することができる。ネナシカズラは宿主植物から養分を略奪するという悪影響を及ぼし、一方、宿主植物はネナシカズラの長い蔓を新しい茎として利用することができるのである。

 宿主植物では、ネナシカズラの寄生は、動物の摂食のような一時的な被害とは異なり、継続的な食害という未経験の状況である。寄生根が挿入されたシュートは通常、新しい茎や根を自由に伸ばす能力を抑制する。一方、継続的食害という未経験の状況では、新しい茎をネナシカズラのつるの構造に同化させ創発的な成長を遂げたと考えられる。実際、宿主植物に挿入された寄生根のmRNAを調べたところ、その半数が宿主由来であったことが報告されている(Kim et al.、2014)。この報告は、宿主植物がその茎をネナシカズラのつるに同化させようとしたことを示唆している。

次回へ続く・・・

Toru Moriyama / February 23, 2024
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論文「行動抑制ネットワークとしての心」その1

 私たちの活動を支える論文「行動抑制ネットワークとしての心」の最終章では、植物や石に心=行動抑制ネットワークが備わる可能性が述べられています。
 その内容(和訳)を、ほぼそのまま掲載します。論文独特の言い回しや専門用語が、研究の「ライブ感」をみなさんに伝えてくれると思います。

*BINは行動抑制ネットワーク(Bhehavioral Inhibition Netwok)
*BGMは行動生成機構(Bhehavioral Generation Module)
*創発行動は、ダンゴムシの「壁登り」や「合体移動」のような予想外かつ意味深な行動
*BIN、BGM、創発行動は、プロジェクトページの2枚目の図に登場しています

どうぞお楽しみください!
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 著者らは、BINのような構造としての心は動物だけでなく、植物や石のような物質にも存在すると考えている。現在、著者らは植物や他の物質から創発的な活動を導き出す実験方法を模索している。以下に、植物の創発行動生成の可能性を示唆する研究例をいくつか紹介する。

 一般的にイメージされる草や木などの植物は、主軸となる茎、そこから枝分かれする枝、茎や枝に生える葉、そして地下の根から構成されている。主軸となる茎や枝をよく見ると、どちらも1本の茎とそこに生える葉からなるユニットで構成されていることがわかる。この単位を植物学では「シュート」と呼ぶ。普段目にする草や木の地上部は、実は多くのシュートからなる「シュートシステム」なのである。

 それぞれのシュートは独立して成長する能力を持っている。この成長には、先端の伸長、幼芽(側芽)の形成、若葉や根の生成など、さまざまなレパートリーがある。従って、植物個体において、各シュートは、様々な成長パターンを行動として生み出すBGMであると考えられる。実際、シュートに似た形状で、その繰り返しによって植物体を構成する単位をモジュールと呼ぶ提案もある(Harper, 1985)。さらに、このモジュール性は植物における高い可塑性の要因のひとつと考えられている(de Kroon et al., 2005)。

 植物をBGMの集合体と考えた場合、ある植物が強い光源に向かって成長するなど1つの個体として行動すると、いくつかの新芽は活性化したBGMとして成長し、他のいくつかの新芽は潜在的なBGMとして成長を抑制する。そして、潜在的なBGMがBINを形成する。実際、植物個体の各部分はネットワークを形成し、電気、化学薬品、水を用いて、その状態を他の部分に伝達している(Mancuso and Viola, 2016)。

 BINにおけるシュートの自律的な成長抑制を確認する方法のひとつに、園芸でよく知られている挿し木がある。植物のシュートを切り取って土に植えると、シュート片から根が発生し、条件が整えば新しい植物個体となる。通常、植物の茎から根が生えているのを見ることはない。これは、それぞれのシュートが自律的に根の成長を抑制しているからである。

 そこで生じる疑問は、植物の心、つまりBINを構成する新芽は、未経験の状況で創発的な行動を示すことができるのか、ということである。この能力の一例として、ネナシカズラという寄生植物に寄生された宿主植物の行動が挙げられる(Hettenhausen et al., 2017)。

次回へ続く・・・

Toru Moriyama / February 23, 2024
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折り返し地点をまわり、66%!

残り20日となりました。ご協力くださりありがとうございます。
目標金額は通過地点。「心を再定義し、平和な社会作りに貢献する」ために、走り続けます!
次の活動報告では、ちょっと専門的に、心の行動抑制ネットワーク理論の論文の一部を紹介します。

Toru Moriyama / February 23, 2024
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