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Tree species mixing for sustainable forest plantations

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NEXT GOAL
SUCCESS
Dai Saito
フライブルク大学、博士後期課程
Pledged: 807,510 JPY
Target Amount: 630,000 JPY
NEXT GOAL: 730,000 JPY
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128 %
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Profile

Dai Saito

故郷の宮城県仙台市で虫取りや魚釣りをしながら子供時代を過ごし、豊かな生き物を支えている森林について興味を持ちました。祖父母が昔植林したスギ山が遊び場の一つで、半世紀もかけて育っていく気の遠くなるような樹木の時間の流れに子どもながら感動していました。一方、祖父母がふと漏らした「このスギはお金にならない」という言葉が衝撃で、長い時間をかけて育った樹木が必ずしもお金として評価されていないことに疑問を持ちました。
高校卒業後は長野県の信州大学・大学院で6年間過ごし、日本三大美林の一つである木曽ヒノキ林、北海道のミズナラ老齢林をはじめ、様々な森林・林業地の研究・実習を通して林業や森林研究の魅力を知りました。大学の演習やサークルの活動では、チェーンソーや鉈をもって森林整備を行い、その合間に食べるご飯の味が忘れられません。
日本の林業政策や林業のモデルとして大きな影響力があるドイツで研究経験を積むため、現在はフライブルク大学の博士課程に在籍しています。
ブログ「Fores-Try」でも森林・林業の可能性や魅力を発信中。

あなたが研究を通して成し遂げたいことはなんですか?

私が研究を通して成し遂げたいことは、「持続可能な森づくり」です。

その具体例の一つとして、「人工林の樹種多様性の向上」を目指す研究をしています。

世界の陸地面積の約3分の1は森林が占め、その森林面積の7%が人為的に植林された人工林です。全体に占める人工林面積は小さいですが、2012年の推定では世界で生産された産業用丸太の約半分が人工林で生産されました。増加する世界の木材需要や天然林の伐採圧の緩和の必要性から、高い生産力を有する人工林の果たす役割は年々大きくなっています。

一方で、木材生産に特化した人工林が生態系やその機能に与えるデメリットも指摘されています。一般的に、木材生産を担う人工林ではヒノキやスギなどの単一樹種が一斉に大面積に植栽されます。このような人工林は管理しやすい反面、気候変動や病虫害への適応力の低さ、炭素固定といった森林の機能の非効率さが指摘されています。

木材生産に限らず、森林の有する多面的な機能を最大限に発揮させるための一策が「人工林の樹種多様性の向上」です。単一樹種の森林と比べて、多樹種が共存する森林では機能やその安定性が向上することが報告されています。例えば、異なる樹種同士が限られた光・土壌養水分を分け合い、競争を緩和することで、森林全体の炭素固定速度が向上する現象が知られています。

私は自身の研究を通して、樹種多様性で人工林の機能・安定性を向上させる技術発展に貢献したいと考えています。

どのようなアプローチで実現しようとしていますか?

樹種多様性を高める森づくりの基礎となる「森林生態系の理解」と、森と関わる「社会・市民との対話」を車の両輪として進めていきます。

樹種多様性が高い人工林をつくる上で探求すべき生態学的問いは、「なぜ異なる樹種がその環境で共存できるのか」です。天然林に足を踏み入れると実に多種多様な樹種を目にしますが、その多種共存を説明する理論は発展途上です。そして、多種共存のメカニズムを理解するためのシンプルかつ根気のいる方法が、多種多様な樹種を混植した森林を造成・比較し、共存できる樹種の組合せに規則性を見つけることです。現在、世界中の様々な環境で多様な樹種を混植する実験ネットワーク「TreeDivNet」が展開され、私自身の博士課程の研究もこのネットワークの中で行っています。

一方、樹種多様性が高い人工林が広まるには、研究者が生態学的根拠を蓄積するだけでなく、実際に森と関わる社会・市民との共同・連携が欠かせません。例えば、多様な樹種を木材製品として活用する人々の技術や意思、樹種多様性を高める人工林づくりを奨励する公的資金や助成金などが必要だと考えます。将来的に、研究者として、樹種多様性を高める森づくりのメリットや技術的体系を提示した上で、社会に実装していく方法を社会・市民と一緒に考えていきたいです。

現在取り組んでいる研究課題はなんですか?

現在は、若い森林・樹木を対象に多樹種共存のメカニズムを研究しています。

樹種の組合せによっては、互いの種の成長が促進される場合や、反対に資源の奪い合いにより競争に負けた種が枯れてしまうこともあります。このような樹種同士の相性は樹木の大きさや樹齢、その土地の環境にも左右されます。現在の博士課程の研究では、植栽後4年の若い樹木を対象に、共存可能な樹種の組合せ、また土壌養分量の変化が樹種同士の相性に与える影響を調べています。

研究は国際樹木多様性実験ネットワーク「TreeDivNet」の枠組みで行われ、特に、若い樹木に着目したプロジェクト(IDENT)の一試験地があるドイツ・フライブルク市で調査を行っています。ヨーロッパ主要樹種6種を対象に、単一の種で構成される単植区と複数種で構成される混植区(2種、4種混合)を設置し、それぞれに施肥・無施肥区があります。処理区間で森林・樹木の成長量を比較し、樹種の相性を評価します。森林・樹木の成長量が高い樹種の組合せに規則性を見出すために、樹種間の葉や根の形、機能の違いを計測します。例えば、森林全体の成長量が向上する樹種の組合せでは、樹種間で葉の表面積や根の太さが類似する傾向にあるのか、それとも樹種間で差異が大きい傾向にあるのか、という点に着目します。

将来的に、この研究データを国際実験ネットワークの中で共有し、世界中の様々な環境、樹齢、樹種構成を包括した研究に貢献したいと考えています。

Why we need your support

人工林の樹種多様性を向上させるには、現在行っている「生態学的研究」だけでなく、実際に社会に実装していく方法を社会・市民と連携しながら考えていくことが必要だと考えます。そのきっかけとしてクラウドファンディングに挑戦します。

この機会を通じて、樹種多様性の高い人工林の可能性をより多くの方に知っていただき、様々な方と意見を交換できる勉強会など、交流のきっかけにしていきたいです。

また、私が強調したい森林研究の魅力であり難しさの一つは、その長い時間スケールです。現在、私が研究を行っている実験林の木々は、私が留学を始める数年前から先人が植林・管理してきたもので、林業のように樹木を次世代に引き継ぐ文化があります。加えて、実際に林業で育てる樹木の樹齢は半世紀~数百年にも及びますが、現在、世界に設置されている樹木多様性実験の樹齢はまだ数十年程度です。切迫する気候・社会変動へ人工林を適応させることを考えると、実験林の樹木が成長して十分な科学的根拠が得られる前に、社会や個人の意思決定が必要です。このような森林研究の魅力や限界を踏まえて、多くの方と未来の森づくりについて議論していきたいです。

サポートいただいた資金は、学会発表の参加費、論文掲載費、留学生活費として使用します。何より、アカデミアに限らず、多くの方々にサポートいただくことは今後の研究を進める上での大きな支えになります。

ご支援のほど、どうぞよろしくお願い致します。

Recommender's comment

Prof. Jürgen Bauhus
フライブルク大学 環境資源学部 造林学研究室

多樹種混交人工林は社会の需要や地球変動の課題に対応するための造林手法です。一方で、そのような人工林を造成する実用的なガイドラインはまだ大きく欠如しています。挑戦者の研究は多樹種混交人工林の適切な樹種選択を支える生態学的根拠を補強します。また、クラウドファンディングの挑戦は彼が多様な人々と出会い、市民の立場から見た森づくりを考える素晴らしい機会です。森林と人とのつながりを多様化させる彼の挑戦を心から応援します。

Prof. Michael Scherer-Lorenzen
フライブルク大学 生物学部 植物地理学研究室

多樹種混交林は単一樹種の森林よりも地球環境変動への適応力が高いことが報告されています。科学に基づいた樹種混交人工林の設計に向け、国際樹種多様性実験ネットワーク「TreeDivNet」が展開されています。挑戦者は森林の発達初期に着目し、異なる樹種間の交互作用が森林の生産性を向上させるメカニズムを研究しています。多樹種混交人工林を支える科学的知見の向上に向け、多くの方に彼の挑戦を応援いただけると幸いです。

城田徹央
信州大学農学部造林学研究室 助教

多樹種混交人工林は持続可能な森林経営における重要なターゲットです。しかし、そこにいたる科学的根拠は乏しく道筋は明示されていません。挑戦者は、あらゆる樹種の組合せを網羅的に検証する混植実験ネットワーク「TreeDivNet」を活用して、競争と共存のメカニズム解明を進めつつあります。新しい理論的枠組みの構築に向けた彼の挑戦を、多くの方に知っていただき、またご支援いただけると幸いです。

田邊智子
京都大学大学院農学研究科 森林利用学研究室 博士研究員

挑戦者の齋藤さんとは信州大学の同じ研究室に所属していました。齋藤さんは実直で、寝る間も惜しまず研究に没頭する情熱を持ち、同時に研究で日本の林業に貢献したいという強い意思を兼ね備えた人です。
この挑戦を通して人工林施業を考える様々な立場の人が集い、相互に新しい視点が生まれるのではないかと期待しています。また議論を通して研究内容もより現場に還元できるものへと磨かれていくと思います。
All or Nothing方式での挑戦です。温かなご支援をぜひ宜しくお願いいたします。

Project timeline

Date Plans
2022年6月 国際会議 (Frontiers in experimental research on changing environments)で発表、国際論文投稿
2022年7月 博士論文提出
2022年11月 博士論文口頭発表・審査
2023年1月以降 サポーターへのオンライン発表会、意見交換会を実施予定

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サポーターのみなさま全員に感謝の気持ちを込めて博士論文の謝辞にお名前を掲載します。

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オンラインでの研究発表会、意見交換会にご招待いたします(2023年1月以降予定)。メールやSNSを通じて定期的にみなさまからのご意見を頂きながら、その後の研究に活かしていければ幸いです。

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研究を国際論文で発表する際、謝辞にお名前を掲載します。

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Featured : オンライン個別ディスカッション

森林研究の話はもちろん、ドイツ留学に向けた準備、実際の現地生活など、私の経験でお話しできることであれば何でもディスカッションさせていただきます。詳細な日程や内容は個別にご相談させていただきます(2時間程度)。

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最新の科学文献の知見を踏まえた上で、樹種多様性の高い人工林づくりはもちろん、森づくり全般に関して、定期的に意見交換させていただきます(一年間、計4回、1回2時間程度)。樹種多様性が高い人工林が広まるには、研究者が生態学的根拠を蓄積するだけでなく、実際に森と関わる方々との共同・連携が欠かせないと思っており、その大変貴重な機会として取り組みます。
もちろん、森づくり以外のテーマでも結構です。
詳細な日程や内容は個別にご相談させていただきます。

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森づくりに関する定期的個別ディスカッション(1年間、計4回) / オンライン個別ディスカッション / 国際論文謝辞にお名前掲載 / オンラインサイエンスカフェ、意見交換会 / 研究報告レポートにお名前掲載 / 博士論文の謝辞にお名前掲載

2 supporters are supporting with this reward. (No quantity limit)

Supporters will be charged the funding amount only if the project reaches the funding goal (JPY 630,000) before 17:00 on May 19, 2022 (JST: GMT+9).
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Credit cards (VISA, Mastercard), bank transfer, convenience store payment, Pay-easy and PayPal are available
Additional Support
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Securities

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