academist編集部
「イノベーター」という言葉から、皆さんはどのような想像をするでしょうか。常識を壊す人、優れた能力を持つ人——彼らは、卓越した能力やスキルがあるからこそイノベーターであると考えられています。しかし、真にイノベーターたり得る人は、単に能力が優れているだけではなく、人格的にも優れていることも必須条件です。ひとりひとり異なる人々で構成されている社会を導くためには、リーダーシップや寛容さ、親しみやすさなど、多面的な優れた資質が必要になります。
日本政府が2016年に打ち出した新たな社会構想「Society5.0」でも、イノベーターが重要になる旨が記されています。Society5.0の社会では、自国と他国両方の文化や価値観、伝統を尊重し、多様な背景を持つ人々との共生が求められます。このような社会状況のなかで活躍できるイノベーターとは、すなわちグローバル社会でも活躍できる人材(グローバル人材)です。
しかし一方で、現在の日本の学校教育では、こうした人材育成を行うことは難しく、未だ数十年前と変わらずに「学校の優等生」を量産し続けています。このギャップに、私たちは強い問題意識を覚えました。
そこで、学校教育において真のグローバル人材の育成を実現するために有効な手段として、私たちは国際バカロレア(以下IB)に着目します。IBは「国際的な視野」と「多様な文化の理解と尊重の精神」という言葉で人格の発達に言及し、これらの要素をグローバル人材の人格教育に欠かせないものと位置付けました。加えて、能力やスキルはあくまでも人格の発達のなかにあることを明示しています。このIBの思想は、今後の日本の教育の指針となりうるのではないか——そんな発想から、今後の日本の教育の望ましい在り方や、優れた人格を身につける方法の研究に着手しました。
私たちの最終目標は、社会のどこであっても、誰もが変化に適応しながら学び続け、考え続けられる人が大多数を占める社会を創ることです。そのような人は、言い換えると、個の確立が達成されているがゆえに、柔軟に生きてゆける人です。
特に日本人は、意見を主張する力や自己肯定感が弱く、個が十分に確立されていない傾向にあるといわれます。私たちの目指すグローバル人材とは、競争社会で優位に立てる人のことではなく、質の高い自分だけの「生」を実現できる人のことです。多くの人々がこのことを理解し、個を確立する資質を身につけることができたら、社会は大きな変革を遂げるでしょう。
そのために、生徒と、生徒を教える教師の両方に対する「教育」が重要です。人格的側面と能力的側面、両方を踏まえた上でのイノベーター教育は日本において新しい概念であり、まだまだ広く研究の余地が残されています。かつ、これまでの日本の教育の変遷から新たな教育の方向性を考えることも、同様に大切です。イノベーター人材育成のための教育の内実を、より具体的かつ実践的な内容として提示し、既存の教育に対するイメージを塗り替えるために、これまでの学校教育の捉え直しと、新たな教育のための下地作りが欠かせないと考えています。
私たちは、現在の学校教育や教員養成システムが、教育の在り方としてのスタンダードであるという一般的な認識を問題視しています。というのも、現状からイノベーターが生まれる可能性は極めて低く、教育の在り方を根本から変えていく必要があると考えているからです。そこで取り入れたいのが、IBの教育手法です。
しかし、現在の日本の教員養成システムと、IBの教員養成システムは全く異なっています。日本でIB教員養成を担っているのは大学院のみであり、学部生はIB教育に関する教育を受けることができません。ゆえに、そもそも現状のシステムから学部卒で教師に「成った」教師は、IB教員になるのにふさわしい素質を必ずしも全員が持っているとは言えません。そのため、既存の教員養成やそのシステムの見直しから始めなければならないと考えています。
現在私たちが研究として行っているのは、教師に対するインタビューや、IB卒業生の意識調査などの質的調査がメインです。より具体的に述べると、教師に対しては、既存の学校教育を行っている教師と、IB教育を行っている教師の双方に対し、苦労している点や学校教育とIBの相違点などを対面で質問します。卒業生に対しては、IB教育以前に受けていた既存の学校教育に対して感じていたことや、IB教育のなかでどのようなことを学んだか、大学進学の際に課題点などをアンケートで調査します。そして、これらの結果を比較検討し、既存の教育の問題点や、イノベーターとして優れた資質を持つ人の共通項、今後日本の教育において向かっていくべきイノベーター育成の方向性を探り出していきます。
今回私たちがクラウドファンディングに挑戦するのは、2つの目的があります。ひとつは、クラウドファンディングを行うことで広く多くの人々にグローバル人材教育について知ってもらうこと。もうひとつは、これまでの蓄積を踏まえて、「では、どのようにグローバル人材を育てるか?」という実践的な部分をより伸長させるためです。ご支援いただいた資金は、主に後者に関する2つのことに使わせていただきます。
ひとつ目は、グローバル人材を育てるための動画コンテンツの作成です。学習者がグローバル教育や人材育成に関する理論と実践手法などを学ぶためのコンテンツを提供します。広くグローバル人材教育を提供するために、動画のように手軽でどこでも学ぶことのできるツールは必須であると考えます。
2つめは、教員の養成です。文部科学省より助成を受けている日本国際バカロレア教育学会の教員養成課程に関する研究と連携しながら、教員や教員を目指す学生たちが「グローバル人材とは何か」を深く考察するために、情報交換をするコミュニティやグローバル人材教育の試験的な実践の機会を提供します。具体的な場を設置することで、教員自身がグローバル人材としての資質能力を高め、グローバル人材教育の具体的な像を持てるようになることを目標とします。
クラウドファンディングを行うことで、これまで私たちがリーチできなかった範囲にもその存在を広く知らせることができるのではないかと期待しています。グローバル人材教育は、机上の理論ではなく、多くの人々の実践によって力を発揮します。私たちの研究成果を生の現場に普及させるために、皆さまのお力が必要です。どうぞよろしくお願いします。
江里口歡人、山本純慈、福嶋將人、飯野啓
Date | Plans |
---|---|
2020年2月 | 慶北大学 調査研究 韓国 |
2020年3月 | Center for Asian Studies 米国、ペンサコーラ |
2020年4月 | 日本STEAM教育学会 投稿論文 申し込み |
2020年4月 | グローバル人材育成学会 投稿論文 申し込み |
2021年9月 | 日本国際バカロレア教育学会 発表 |
研究会の様子や研究の内容などを冊子にまとめてお送りいたします。この研究に関わる論文の要旨や数値データ、研究論文などもまとめてお送りしますので普段あまり見ることのない研究論文を皆様に公開していきます。
研究報告レポート(PDF)
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今回の研究は研究投資をしていただいた皆様とグローバル人材とは何か、どうすればそのような力がつくのかを考えてまいります。研究投資をしていただいた皆様には熟議に参加していただき、我々の研究についてアイデアを頂戴したいと思います。そこで出たアイデアをもとに研究を促進させていきます。この研究では誰もが現実的に複雑な社会で生き抜くために必要なコンテンツを作成するために皆さんのアイデアを尊重してまいります。
イベント参加権 / 研究報告レポート(PDF)
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日本国際バカロレア教育学会、グローバル人材育成教育学会、日本STEAM教育学会、Comparative and International Education Societyにて本研究に関する発表をする際、謝辞にお名前を掲載させていただきます。また、発表資料(電子版)を送付いたします。お力をお
貸しください。応援よろしくお願いいたします!
※学会発表が叶わなかった場合、その後の学会発表資料の謝辞にお名前を掲載いたします。
学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / イベント参加権 / 研究報告レポート(PDF)
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江里口の著書『IB教育がやってくる! 「国際バカロレア」が変える教育と日本の未来』をサイン付きで贈呈いたします。
サイン本の贈呈 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / イベント参加権 / 研究報告レポート(PDF)
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本研究成果を発表する際の謝辞にお名前を掲載させていただきます。
※研究成果をまとめられるよう努力いたしますが、論文の掲載に至らない可能性もございますこと、ご承知おきいただけますと幸いです。
論文謝辞にお名前掲載 / サイン本の贈呈 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / イベント参加権 / 研究報告レポート(PDF)
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江里口(日本における国際バカロレア教育の第一人者でIB教育に関する書籍あり。玉川学園にてIB教育やIB教員育成プログラムを設立し、日本IB学会の副会長です!)があなたのもとに伺い講演を行います。 ※旅費・宿泊費等は別途頂戴いたしますのでご留意ください。
出張講演 / 論文謝辞にお名前掲載 / サイン本の贈呈 / 学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / イベント参加権 / 研究報告レポート(PDF)
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