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発展途上国の文化や言語に合わせて、哲学する技法を「現地化」する

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望月太郎
Osaka University、教授
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ご支援、広報にご協力いただきました皆さまへ

 おかげさまで、残り10日の時点で達成率100%を越えることができました。これも皆さまのご支援の賜物と感謝いたします。これまでコメントやメッセージを多数お寄せいただき、とても励みになりました。どうもありがとうございます。
 当初の目標金額50万円に、残り10日のセカンドゴールとして+10万円を目標として加え、合計60万円の獲得を最終目標として最後まで頑張りたいと思いますので、引き続きご支援ください。獲得できました資金は、来年度の哲学カフェ・カンボジア@プノンペンの活動経費(会場費、会議費、通訳費、広報費、調査費、現地スタッフへの謝金等)及びカンボジア・僧侶のコミュニティーの森へのエコツアーの企画・実施費用に充てさせていただきます。哲学カフェでは、今年度から継続してカンボジアにおけるLGBTQの問題を取り上げていきます。エコツアーには、哲学ウォーク@アンコールワット遺跡も含めたいと思っています。
 また、企業様からの追加分50万円(予定)は、上記の活動をさらに充実させていくために用いるとともに、カンボジア人ファシリテーターの養成(カンボジア人教員・学生の国際学会参加費等)のために使わせていただきたいと存じます。
 活動と研究の成果は、日本哲学プラクティス学会等で随時発表します。(これまでの活動については、同学会誌『思考と対話』創刊号に掲載されています。https://philopracticejapan.jp/magazine/をご参照ください。)
 カンボジアでの活動の「現地化」を進めると同時に、隣国のタイやミャンマーでの活動も並行して進めていきます。FacebookやTwitterで活動報告いたしますので、よろしくお願いいたします。
 
                        2019年12月13日 
                               望月太郎

Comment from academist staff
「対話」を通してカンボジアでクメール哲学の確立に挑む

academist編集部

発展途上国は、産業や経済がどれほど速く、大きく成長できるかということばかりに注目が集まりがちです。しかし、国の発展と同時に、その国に暮らす人々の思考方法、価値観や道徳観・倫理観も変革を求められます。急速に発展するカンボジアにおいて、この国を支える人々は、どうやって旧来のものの考え方から脱するのか? とりわけ、カンボジアに蔓延する腐敗の構造にいかに立ち向かっていくのか? 新たな思想と規範を現地の人々自身が育てるべく、望月さんは「哲学カフェ」と呼ばれる哲学対話の場をつくることを通して現地で哲学する技法を広めることを目指しています。

発展途上国に必要な哲学とは何か?

私の研究は、カンボジアで「哲学カフェ」を開き、哲学する技法を現地の教員・学生・市民と共同で開発し、普及することと、哲学する場のファシリテーターを育成することを目的としています。哲学カフェの話を進める前に、まずは発展途上国における哲学のニーズについて少し紹介しましょう。

発展途上国には哲学への強いニーズがあります。国民の思想的なアイデンティティを確立することは国民国家を建設するうえで必須となる文化的な事業です。旧来の価値観がいまだ根強く残るこの国で新しい思考方法と価値観を私たちが共に生み育てることは、これからのカンボジアを支える若い世代の人々に大きなインパクトをもたらすでしょう。

たとえば、カンボジアでは個人の考えを貫くことよりも、家族や親族、村などの共同体が持つ価値観を守ることのほうが優先されます。また、性的マイノリティは「家の恥」とされ、カミングアウトをすれば共同体から追い出されることも珍しくありません。このように、家父長制を中心としたムラ社会的な規範がいまだ色濃く残っているがゆえに、リベラルな思想の発展が阻害されているのが現状です。

また、政治・経済・社会のいたるところに腐敗が巣食っていることも、発展途上国に共通するひとつの特徴です。私の経験では、カンボジアの首都プノンペンで乗っていた車が事故に遭ったとき、加害者側のドライバーは現場に来た警察官に米ドル紙幣を握らせその場を立ち去らせて、結局は当事者間の示談で解決となりました。こうした不正が日々当たり前に起こる世界——それが、構造化した腐敗が蔓延するこの国の実情なのです。

カンボジアでは中等教育レベルで道徳・市民性教育の授業が、また高等教育レベルで哲学・倫理学の授業が行われます。しかし、その内容が社会で実践されることは極めて稀です。教育が空疎化している理由のひとつには、歴史的背景が関係しています。ポル・ポト政権時代、300万人以上の国民が虐殺されたときに多くの学識者も犠牲となり、内戦後、教育システムを再構築する際に大きな障壁となりました。加えて、この暗い過去の経験から国民同士の信頼関係が揺らいだことが、今のカンボジアの社会を蝕む病理となっているように見受けられます。

こうした現状に対して、正義をもって不正に立ち向かう若者を育てるための道徳・市民性教育と哲学・倫理学教育への期待が国内で高まりつつあります。

哲学カフェとは、対話を通して哲学する場

そこで私は、ソクラティック・ダイアローグ、哲学カウンセリングなど、さまざまな哲学プラクティスのデモンストレーションを現地で行い、「自分で考える・対話する=哲学する」という基本的な哲学する技法を開発、普及しようと考えました。そのための場として、「哲学カフェ」を提案します。

哲学カフェとは、自由で安全な「対話」の場であり、哲学的探求の共同体を形成する場です。対話は、参加者が互いに問いを投げかけ、その問いをさらに問い直し、応答するという過程を繰り返します。このプロセスを経ることで問題の所在を見極め、それまで見えなかった事柄を言葉にして表し、新たな概念として捉えられるようになります。安心して自由に問い、対話を通して哲学する場を開くことにこそ、哲学カフェの意義があるのです。

この場の運営を通し、現地の人々とともにカンボジアの社会的課題について思考を深める機会を作ると同時に、哲学カフェのファシリテーターの養成を目指します。参加者は、哲学カフェでの考えや学びを家庭や学校、職場などに持ち帰ることで、みずからの「生活の技法(アート・オブ・リビング)」として日々の営みにフィードバックできるようになるでしょう。

ローカリティを尊重しなければ、哲学は根付かない

先進国で確立された哲学の知識をそのままカンボジアに持ち込んでも彼らのニーズに答えることはできません。カンボジアの言語や文化的風土に合わせ、時間はかかるかもしれませんが、哲学する技法を「現地化」することを目指しています。

「現地化」の具体的な内容は、以下の通りです。

1)クメール語(カンボジア語)で哲学する
哲学カフェでカンボジアの社会的問題について哲学する際は、現地の言葉であるクメール語の使用を推奨しています。問いの形は言語の制約に依存すると同時に、ある事柄や状況の問題化、概念化のプロセスは、当事者の人々が思考する母語の構造に深く関わっているからです。

2)クメール哲学(カンボジア哲学)の確立を目指す
民族の思想的アイデンティティ形成のために、カンボジアでは今、クメール哲学の確立が求められています。哲学と宗教が一体となるこの国において、修行僧の知恵と民衆の知恵を両立させ、クメール人の思想の在り方を探ることは重要な調査研究のミッションのひとつです。また過去へ遡るだけでなく、未来へ向けてクメール哲学がどのようなものであるべきかを模索しなければなりません。

3)構造的な腐敗の問題に取り組む
言論の自由が妨げられているため、腐敗について語ることはデリケートな問題を含みます。腐敗がこの国の病理であるという認識は共有されていますが、公的な場でストレートに批判されることはありません。そこで、アプローチの仕方に工夫が必要です。たとえば以前は、哲学カフェで「お金」をトピックとして取り上げ、お金は何の役に立つかを議論することで、不正の問題化を試みました。腐敗の構造を理論的に分析するだけでなく、問題解決へ向けて実践的なアプローチを現地で支援します。

4)カンボジア人のファシリテーターを養成する
哲学カフェの活動が「国際協力」に終わらず現地で自立して持続するためには、カンボジア人のファシリテーターの育成が不可欠です。ファシリテーターは、哲学カフェにおいて対話を積極的にリードするだけでなく、修得した「対話の技法」を学校や職場で活用し、リーダーシップを発揮することが期待されます。

以上を4つの柱とし、長期的展望をもって「哲学カフェ・カンボジア」の活動を組織し「現地化」を進めていく予定です。

Why we need your support

哲学カフェ・カンボジアの創設と運営にかかる費用は、これまで私費を投じてきました。現地での哲学プラクティスに関する調査研究は、科学研究費補助金を部分的に利用することができましたが、哲学カフェの活動を継続的に支えるには十分ではありません。渡航旅費、映像の記録と発表、会場費、広報費など、多額の費用がかかります。

カンボジアの大学には研究費がないため、教員の研究は低調です。また給与水準も低く、教育研究へのインセンティブもありません。このような現状の中で、現地の教員のやる気を哲学カフェ・カンボジアの活動により鼓舞、支援したいと考えています。

また今後は、特に以下の2つのテーマに焦点を当て、内外の支援者の哲学カフェ・カンボジアへの参画により、現地での調査研究活動を企画・実施したいと考えています。

1)カンボジアの性的マイノリティに関する調査研究と、当事者を交えた「対話」の実践
2)森林保全のための「僧侶のコミュニティーの森」の活動を支援するエコツーリズム

哲学カフェ・カンボジアの活動が現地で自立して持続するところまで支援できれば、カンボジアでの私たちの活動はひとまず終わることになります。その後はカンボジアでの実践経験を活かして、世界の発展途上国における教育開発のための哲学プラクティスを推進していくつもりです。教科書による知識の伝達ではない、自分で考え、対話するという意味で「哲学する」ための技法を現地に普及させるべく、みなさまにはご支援のほどよろしくお願いいたします。

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本プロジェクトは、「異端」をテーマに公募を実施した「<Beyond Next Ventures × academist>マッチングファンド」第二弾に選出されたものです。クラウドファンディングが成立した場合、Beyond Next Ventures株式会社とacademistの特別マッチングファンドとして、50万円の追加支援を実施いたします。
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Profile

望月太郎

1962年東京生まれ。1998年から大阪大学大学院文学研究科で哲学・現代思想文化学の教育と研究に携わり、現在に至る。2004年から2012年まで大学教育実践センターで高等教育の研究開発、2014年から2017年までASEANセンター長を務め、バンコクに駐在。チュラロンコン大学(タイ、バンコク)文学部哲学科客員教授。この間、カンボジアで哲学プラクティスを教育開発に応用するためのセミナーや哲学カフェを開催し、アンコールワットで哲学散歩を企画・実施。2018年プノンペンに哲学研究センター(Prajnasastra Vihara Co.,Ltd.)を現地の大学教員と共同で設立した。

Project timeline

Date Plans
2019年10月 クラウドファンディング挑戦
2020年1月以降 哲学カフェ・カンボジアの企画・開催および広報(毎月開催)
  • 広報は現地のコミュニティ誌『Nyo Nyum』に掲載予定
2020年1〜12月 カンボジアにおけるLGBTQについての調査研究に協力(研究協力者:中川香須美・パンニャサストラ大学教員)
2020年度末 論文完成、学会発表の予定
2020年1月 「僧侶のコミュニティーの森」(オッダー・ミーンチュイ州)を見学するエコツアーの企画・実施
  • レポートを作成し、2020年度中にカンボジアの森林保全のための提案をまとめる。

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1,100 JPY tax included
Featured : 哲学カフェの実施報告レポート(PDF版)

哲学カフェ・カンボジアの報告を、レポートにまとめてお送りします。応援よろしくお願いいたします!

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哲学カフェの実施報告レポート(PDF版)

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5,500 JPY tax included
Featured : Webサイトにお名前掲載

哲学カフェ・カンボジアのHPに、感謝の気持ちを込めてお名前を掲載させていただきます。応援よろしくお願いいたします!

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11,000 JPY tax included
Featured : 哲学カフェ参加権

カンボジアでの哲学カフェ開催時(不定期ですが概ね毎月開催しています)に、または大阪での哲学カフェにご招待いたします。※当日ご参加いただけない場合には、後日資料を共有させていただきます。

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哲学カフェ参加権 / Webサイトにお名前掲載 / 哲学カフェの実施報告レポート(PDF版)

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33,000 JPY tax included
Featured : サイン入り著書

私の著書『発展途上国における教育開発のための哲学プラクティス』(ratikから2020年4月頃、出版予定)をサイン入りでお送りいたします。応援のほどよろしくお願いいたします!

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サイン入り著書 / 哲学カフェ参加権 / Webサイトにお名前掲載 / 哲学カフェの実施報告レポート(PDF版)

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日本哲学プラクティス学会(2020年8月、大阪で開催予定)にて本研究に関して発表する際、謝辞としてお名前を掲載させていただきます。また当日の発表資料(電子版)を送付いたします。お力をお貸しください。応援よろしくお願いいたします! ※学会発表が叶わなかった場合、その後の学会発表資料の謝辞にお名前を掲載いたします。

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学会発表資料の謝辞にお名前掲載 / サイン入り著書 / 哲学カフェ参加権 / Webサイトにお名前掲載 / 哲学カフェの実施報告レポート(PDF版)

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110,000 JPY tax included
Featured : カンボジアでのエコツアー参加権

カンボジアで実施する森林保全支援のためのエコツアーにご招待いたします。「僧侶のコミュニティーの森」の見学や植樹活動の説明をさせていただきます。ツアー催行は2020年1月の予定、場所はカンボジア北部のオッダー・ミーンチュイ州(アンコールワットのあるシェム・リアップから車で北へ2時間程度のところにあります)です。ご参加をお待ちしています! ※カンボジアまでの交通費、カンボジアでの宿泊費、そのほか滞在費は含まれません。現地での交通費、ガイド費用等はこちらで負担します。

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Featured : 現地のコミュニティ誌にお名前掲載(法人様向け)

法人様向けのリターンです。現地のコミュニティ誌『Nyo Nyum』のコラム欄を法人様にご提供いたします。

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本プロジェクトは、「異端」をテーマに公募を実施した「<Beyond Next Ventures × academist>マッチングファンド」第二弾に選出されたものです。チャレンジ期間内にクラウドファンディングが成立したため、Beyond Next Ventures株式会社とacademistの特別マッチングファンドとして、50万円の追加支援を実施いたします。

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Beyond Next Ventures株式会社による特別追加支援

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Supporters will be charged the funding amount only if the project reaches the funding goal (JPY 500,000) before 19:00 on December 23, 2019 (JST: GMT+9).
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Credit cards, bank transfer, convenience store payment, Pay-easy and PayPal are available
Additional Support
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Securities

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