academist編集部
研究学園都市として広く名を知られる茨城県つくば市。ここで、「つくばチャレンジ」と呼ばれる大規模なロボットの実証実験が、過去8年にわたって行われてきました。
つくばチャレンジ(Real World Robot Challenge)は、人々が暮らす街のなか(=リアルワールド)において、自律走行ロボットの技術進歩を目指す技術チャレンジです。同イベントには、大学や企業、研究所などの研究チームが参加し、各チームの用いた技術は学会やコミュニティなどを通して共有されます。互いの技術情報を共有することでロボット技術の発展を目指し、「人とロボットが共存する社会」を実現することが、つくばチャレンジにおける最も大きな目的です。
ロボットと人間が共存する世界(すなわち、デジタルネイチャー)を実現するためには、リアルワールドでの実証実験が必要不可欠です。屋内での実証実験はすでに多くの企業等が行っていますが、こうした大規模な屋外での実証実験はまだまだ少ないのが現状です。その理由の第一は、安全性によるものです。一般市民の方々が行き交う市街地で自律走行するロボットの実験を行うにあたっては、安全性の担保が非常に重要な課題となります。第二の理由は、技術的な難易度の高さ。常に想定外の変化が予想される環境に対応するために、ロボットにはハードウェアとソフトウェアの両方における頑健性が求められます。
これらの課題をクリアするために、我々ロボット開発集団:Preferred Neo タピオカダイナミクス卍~魂の光子を添えて~は、強固なハードウェアに加えてオリジナルのソフトウェアをもって挑戦することにしました。
つくばチャレンジに挑むロボットのハードウェアとソフトウェアをご紹介します。
【車体】
パーソナルモビリティの生産・販売において知名度を誇るWHILL株式会社の電動自動車椅子「WHILL Model CR」をベースとしたオリジナル機体「pedwhill」を使用します。Pedwhillは、さまざまなハードやソフトと組み合わせることで、実際に公道での自律走行を想定して作られた研究開発モデルです。段差は最大5cmまで乗り越えることが可能であり、環境が均一ではない公道での実証実験に適しています。
【センサー】
開発中の機体には多数のセンサーが搭載されています。2.2Kの解像度を持ち、20mまでの3Dマッピングが可能であるステレオカメラを2機、360度の3次元イメージングが可能な超小型・軽量センサーの3D-LiDARを2機、GPSやIMU、Kata-okaを搭載しています。ハイスペックなセンサー類を揃え、安全性・ロバスト性(頑強な正確性)を徹底的に高めます。
【計算機】
科学技術計算用計算機ワークステーションとAI計算に特化したノートPC2台を用います。
これらの装備を揃えることで本チームは出場チームのなかでも最強クラスの走破性、センサー性能、計算力を誇ります。強力なハードと繊細なセンサーは屋外環境で自律走行を行うために必要な天候状況や道路の状態に左右されず目的地へと走行できるロバスト性や、歩行者や障害物を認識して接触や事故を未然に防ぐ安全性を担保します。
ロボットの自律走行に必要な基盤技術の高度化は進んでいますが、「人とロボットが共存する社会」の実現に必要な周囲の人々との自然な相互作用については未解決の課題です。
本プロジェクトでは、一人称視点映像を活用することで人の振る舞い=社会的な行動をより詳細に記述するモデルを立てて上記課題の解決に挑みます。機体の前面に取りつけたカメラから得られる一人称視点映像は、周辺人物の行動や注意をクリアに記録しており、その情報を引き出すことで、その人物の非線形な将来行動をより正確に予測できます。得られた予測を基にロボットの経路計画を行うことで、周辺の人々を驚かせない、社会的に望ましい自律走行を実現します。
具体的には、東京大学大学院の八木拓真氏の協力のもと、一人称視点映像からの人物位置予測をベースとした予測アルゴリズムを実装・改良し、自然なロボットー歩行者インタラクションを実現します。
他方、物体認識と自己位置推定には複数の深層学習モデルを組み合わせます。ロボット自身が進むべき道を計画する「グローバルパスプラニング/ローカルパスプランニング」と呼ばれるシステムには、制御アルゴリズムDWAとラプラスポテンシャル法を組み合わせた手法を用いて挑戦するつもりです。
現在、私たちはPedwhillを動かすためにプランナーの実装・画像解析AIの開発を行なっています。ご支援いただいた研究費は、センサーやカメラ等の自律走行に欠かせないハードウェア(Kata-okaなど)および実地走行にかかる交通費、機材運搬費、展示会出展費用に使わせていただきます。自然な相互作用の実現にあたり、繰り返しの実地走行は必要不可欠であり、そのための交通費が必要になります。
今回クラウドファンディングに挑戦したのは、つくばチャレンジをより多くの方々に知っていただき、このイベントのみならず、自律走行ロボットにも関心を持ってもらえる機会を作りたいと考えたからです。車だけではなく、さまざまなものが自律走行する時代はすぐそこまで来ています。つくばチャレンジは、すでに訪れつつある変革的な未来を見据えた非常に意義のあるイベントです。私たちは、つくばチャレンジを通して得られた新たな知見、自律走行に関して培ったスキルや知識を社会に還元し、「人とロボットが真に共存する」自律走行の実現に貢献したいと切に望みます。みなさまのサポートをいただいて私たちは来年以降のつくばチャレンジにも継続的に挑戦し、「人とロボットが真に共存する」自律走行ロボットの実現に向けて貢献する予定です。何度も小賢しくなってつくばの街に輪廻転生し帰ってきます。I’ll be back.
ロボット開発集団:Preferred Neo タピオカダイナミクス卍~魂の光子を添えて~
Date | Plans |
---|---|
2019年10月 | クラウドファンディング挑戦 |
2019年9月中旬〜11月上旬 | 実験走行 |
2019年11月10日(日) | 本走行 |
2019年12月12日(木)〜14日(土) | 第20回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会 |
2020年1月11日(土) | つくばチャレンジシンポジウム |
研究の詳細な進捗などをレポートにまとめてお送りします。応援よろしくお願いいたします!
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シュールで笑えます!
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自作の台車をきちんとプランナ使って制御する記事が日本語では今のところ乏しい状況です。そこでそのあたりの内容を中心にした私たちの知識と経験を盛り込んだROS入門書をお送りします。
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実際に大会に出場したロボット本体をご覧いただきながら、設計や技術の詳細について説明をさせていただきます。場所は本郷のKERNELを予定しています。日時については12月頃で調整しています。ご参加をお待ちしています!※当日ご参加いただけない場合には、後日動画と発表資料を共有させていただきます。また、会場までの旅費はご負担をお願いします。
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有名バイオアーティストがデザインしたオリジナルチームポロシャツをプレゼントします。
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心優しい方はこちらをお願いします!
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