【要約】
・誤解を恐れずに言えば、遺伝子組換えにより自滅するようにした大腸菌が他の普通に存在する大腸菌と触れあった場合に、自滅する機能が操作されていない大腸菌に遺伝する可能性はある。
・しかし今回の研究は基礎研究であり、今回の内容だけで実用化(=研究室外に出すという状況)を考えるのは適切でない。iGEMは学部生教育が目的で、理論をもとに実験室内でアイデアを作品化する大会であるので、外に出したときの危険性は議論にとどめる。
・弊チームは、私たちが作っている仕組みが将来なされる応用的な研究の足がかりになる可能性があると考えている。
(以下質問者様とのやりとりの概要です。一部補足しました。)
Q1. 自滅する操作を施された大腸菌が、万が一環境中に普通に存在する大腸菌と触れる機会があった場合、自滅する機能が操作されていない大腸菌に遺伝する可能性はありますか?
A1. ご質問は「万が一、自滅する遺伝子をもつ大腸菌が研究室外に出たとき、その瞬間~自滅するまでの間に他の菌に自滅の遺伝子を含むプラスミドを渡してしまう可能性はあるのか?」ということですね。 可能性はあります。より正確に申し上げると、「一つのプラスミドに、自滅のために必要な遺伝子を全て組み込んだ場合には渡す可能性が高い」です。
対処としては2つ考えられ、「複数のプラスミドに分けて自滅の遺伝子を入れる」もしくは「プラスミドではなく大腸菌本体の染色体に遺伝子を組み入れる」です。このようにすると理論上の可能性はとても低くなります。
Q2. では今回のiGEMで群馬大学チームはその方法をとるのですか?
A2. 取りません。私たちのテーマが将来的に応用される可能性や展望を考えて実験計画を練ったり、発表の内容を考えたりしますが基本的にiGEMは主に学部生が合成生物学を実践して学ぶ「学部生教育を目的とした大会」であり、実用化を目指す大会ではありません。基本的にはアイデアを基礎的な実験データにもっていくところまでです(そこまででもかなり大変ですが)。よいデータが取れれば、来年度以降その応用的な研究がなされることは大いにありえます。
※参考
複数のプラスミドに分割して遺伝子を持たせる方法や、染色体に遺伝子を入れる方法は通常の方法に比べて効率がはるかに劣るので、今のところ私たちのチームでトライする予定はありません。 ただ、私たちが実験で用いる大腸菌は本体の染色体を遺伝子組換えされた「実験株」です。したがって上記の効率を上げる方法は「存在する」ということであり、理論上できる可能性はあります。 実際に大腸菌で染色体の遺伝子組換えを行った論文はこちらです。 https://microbialcellfactories.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12934-017-0700-2
私たちは私たちの作品として、iGEMという大会のために「自滅する大腸菌」を作るための努力を続けます。
また私たちの研究結果が将来より応用的・実用的な研究の足がかりになることを強く望んでいます。
メンバー内で議論がなされ、岐阜大学の経験豊富な先輩(前年度チーム代表)、弊チームメンターにも相談した結果、私たちの目的およびコンセプトをより明確にすることができました。Twitterで質問くださった方とのやりとりをこの場をお借りして支援者の皆さま、そしてご覧になっている方に共有させていただきたいと思います。
皆さま、こんにちは。GWの大型連休も目の前となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。私たちは帰省するものもあり、休暇中も群馬に残るものもあり…ですがGW中もミーティングはやります。
先日Twitter(@iGEM_Gunma)でとても本質的なご質問をいただきました。「自滅する大腸菌の因子が、外に出て他の菌に移ることはないのか?」という内容です。これはきっと同じように疑問に思った方が多いのではないでしょうか。
支援者の皆さま、これを読んでくださっている方、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。寒かった昨日、理工学部がある桐生では雪も降りました。
写真は、3月14日に板橋教授のプレゼンのお手伝いに行った日です(右端が瀬田)。久々にスーツを着て身が引き締まりました。また、プレゼンはiGEMでも重要なスキルなので、教授の技を学ぼうと聞き入ってしまいました。
【アルバイトで参加費を準備する努力をしています】
iGEM群馬大学のメンバーは参加費の一部を自分たちで稼ぐべく、弊学・環境創生理工学科の板橋教授が経営するベンチャー企業にて学生社員(アルバイト)をしています。お手伝いの内容は多岐にわたりますが、2月には前橋で人工芝を敷くお手伝いをしました。写真はその時の様子です。
支援者のみなさん、そしてこれをご覧になっている方、こんにちは!iGEM群馬大学の瀬田です。
まだ公開から日が浅いにも関わらず、多くのご支援をいただきありがとうございます。引き続き頑張ってまいりますので、ぜひ周りのご家族やお友達にもこのプロジェクトを教えてあげてください。宜しくお願いいたします。
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