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Closed Aim for the world without suffering a stroke!

Monthly

Koutarou Nakamura

東京大学、博士後期課程

Challenge period

2020-09-16 - 2023-03-31

Final progress report

Fri, 31 Mar 2023 17:44:30 +0900

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14 times

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40 people

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Wed, 16 Sep 2020 10:00:00 +0900

Comment from academist staff
脳梗塞における「炎症」と「修復」の分子メカニズムを解明し、新規治療法の確立を目指す

脳の血管が詰まってしまう脳梗塞。発症後に生体内の免疫系が活性化し、脳内で炎症が引き起こされることで病態が悪化します。一方で、脳梗塞後の炎症は、神経機能の修復過程に大きく関わっていることが近年の研究から明らかになってきています。中村さんは、脳梗塞の新規治療法を確立するべく、脳梗塞後の「炎症」と「修復」が起こる分子メカニズムの解明に向けた研究に取り組んでいます。日本や世界における健康寿命の延伸に貢献したいという中村さんに、ぜひ応援をお願いします!

「炎症」が脳梗塞の病態を悪くする

脳卒中は日本において死因の第3位であり、寝たきりの原因の第1位です。脳卒中は一言でいってしまえば、脳の血管が詰まったり(脳梗塞)破れたり(脳出血・くも膜下出血)することにより脳組織が傷害され、麻痺や言語障害を引き起こす病気です。近年、高齢者の激増や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の増加も影響し、脳卒中の患者さんは増加の一途をたどっており、2020年には300万人を超すことが予想されています。

このように、脳卒中は世界中で健康寿命を短縮する主原因ですが、患者さんの生活機能を改善できる治療剤は未だ乏しい状況にあります。また現状、脳梗塞を発症してから数時間のみしか使えないなどの制約があります。

脳梗塞は脳卒中のうち7割ほどを占める病態ですが、脳梗塞を発症した後の脳内では脳組織の傷害に伴って生体内の免疫系が活性化されます。免疫系が活性化されると脳内で「炎症」が引き起こされますが、この炎症により脳組織はさらに傷害され脳梗塞の病態を悪化させます。つまり、脳梗塞後の炎症が起こるメカニズムを明らかにできれば、「脳内炎症」を標的とした脳梗塞の新規治療法開発につながると考えています。

脳梗塞後の「炎症」はどのようにして引き起こされるのか

そもそも生体内で「炎症」はどのようにして起きるのでしょうか?

我々の身体は免疫系によって、外界から侵入してきた細菌やウイルスといった病原体から守られています。病原体が体内に侵入すると、細菌の細胞壁成分やウイルス由来のタンパク質といった病原体の一部を、マクロファージ・好中球などの自然免疫系の免疫細胞がいち早く認識し、生体防御のため炎症応答が引き起こされます。
しかし、脳は血液脳関門とよばれるバリアを介して外部からの異物の侵入を防いでいる極めて無菌的な臓器であり、脳梗塞の病態では通常病原体は存在しません。

では、どうして脳梗塞で「炎症」が起こるのでしょうか?

近年、細胞死や組織の損傷など、細胞のダメージに伴って放出される、自己の組織由来のタンパク質やDNAやRNAなどの核酸によっても免疫系が活性化され、「炎症」が引き起こされることが明らかとなってきました。このような自己の組織由来の炎症(無菌的な炎症)を引き起こす因子を「ダメージ関連分子パターン(DAMPs)」と呼びます。

脳梗塞において炎症を引き起こすDAMPsが同定できれば、脳梗塞を悪化させる脳内炎症を抑える治療標的となると考えていますが、脳梗塞におけるDAMPsはこれまでにほとんど同定されていませんでした。

「炎症」から「修復」へ、新しい治療法開発に向けて

修士の研究では、脳梗塞後の脳内で炎症を引き起こし病態を悪化させるDAMPsの探索を行い、同定に成功しました。このタンパク質の作用を打ち消すと脳梗塞後の脳内炎症が抑制され、脳を保護する効果が確認されたことから、脳梗塞における新規治療標的となり得ることを明らかにしました。

この成果はこれまでに国内外の学会/研究会で高く評価され、計10の研究優秀賞をいただき、修士課程は専攻最優秀で修了しました。現在は、発見したDAMPsの脳内での由来や、炎症を引き起こすために重要な構造の探索、免疫細胞との相互作用についてなど詳細な解析を進めており、一流国際誌への論文報告に向けて研究に取り組んでいます。

さらに、脳梗塞を発症した患者さんでも適切なリハビリなどを行うと身体機能が回復することから、脳にはもともと神経機能を修復させるメカニズムが備わっていると考えられています。近年、脳梗塞後の炎症は、その後の神経機能の修復過程に大きく関わっていることが少しずつ明らかになってきています。

今後は今回発見したDAMPsが引き起こす「炎症」と脳梗塞後におこる「修復」の詳細な関連や、全身の免疫系による脳梗塞後の神経機能の修復メカニズムの解明にも注力していきます。

脳梗塞後における神経機能の修復を誘導するようなメカニズムを解明することができれば、患者さんの自発的な神経機能修復を誘導できるような医薬品の開発につながることが期待できます。これにより、日本・世界における健康寿命の延伸に貢献したいと強く考えています。

Why we need your support

高校生のころに生物学の面白さに取り憑かれ、特に自己と非自己を厳密に区別する免疫メカニズムに「身体のなかでこんなにも複雑なことが起きているのか」と感動しました。免疫学の発展には多くの日本人が貢献してきたことを知り、いつか自分も人類史上誰も知らない生命現象を紐解き、教科書を書き換えるのだと研究の道を志しました。

学部1、2年次より基礎研究の研究室に出入りし、早くから研究の世界に足を踏み入れました。実際に研究を始めると研究活動は昼夜を問わない努力と涙の結晶であることを痛感しましたが、その大変さを忘れてしまうような発見の喜びを体験し、今後も研究を続けていきたいと考えています。

生命科学系の研究では、どうしても細胞や動物の都合に合わせて実験をすることが多いためアルバイトなどを行うことが難しく、経済的なご支援をお願いしたくクラウドファンディングを始めました。

本プロジェクトを通じていただいた支援金は、研究(学会発表時の滞在費など)・生活のための費用、サイエンスカフェ開催などアウトリーチのための活動費に使わせていただきます。在学期間中に継続的な支援をいただくことができれば、安心して研究に邁進できますので何卒ご支援のほどよろしくお願いいたします。

また、私はサイエンスコミュニケーションや科学技術政策にも興味があります。昨今、日本の科学技術・研究力が低下していると多々報道されていますが、日本には世界でもトップレベルの研究が分野問わず沢山行われています。そんな科学研究をさらに盛り上げていくためには、一人でも多くの皆さんに「科学」に興味をもっていただき、共に科学研究を推進していくことが大切と考えています。

そこで、私個人として、なにかと難しいといわれて敬遠されてしまうようなサイエンスの専門的な話をいかに一般の方にも興味をもって発信していけるか、皆さんの科学に関する素朴な疑問にお答えできるか。そのようなコミュニケーションに挑戦するためのツールのひとつとしてこのクラウドファンディングにチャレンジし、ここで生まれた支援者の皆さまとの交流を通じて科学と社会の新しい架け橋となれるように活動していきます(2020.9.26:一部加筆)。

Profile

Koutarou Nakamura

2018年に学士号(理工学)、2020年に修士号(科学)を取得後、現在は東京大学大学院の博士後期課程に在籍しております。東京都出身で、小中学生時代はミュージカルに打ち込み、高校時代はオーケストラ部や1年間のフィンランド留学(−20℃の中で生き延びる術を身につけました)、大学時代では研究やバックパック世界旅行にと、これまで常にハングリー精神をもって「新しい世界を知りたい」といろいろなことにチャレンジしてきました。最近は料理にはまっており、現在美味しいぬか漬けの研究中。次は梅干し作りにチャレンジしたいと考えています。

Project timeline

Date Plans
2020年12月 一流国際誌への論文投稿(脳梗塞における新規DAMPsの発見について)
2021年3月 国際学会(Stroke-Immunology Conference:脳卒中領域の世界的な学会@ドイツ)での発表
2021年6月 国際学会(Brain & Brain Pet 2021:世界的な脳機能関連の学会@スコットランド)での発表
2021年10月 国際学会(SfN:米国最大の神経科学の学会)での発表
2022年夏 国内の神経科学の学会での発表
2022年夏 一流国際誌への論文投稿
2022年秋 博士論文執筆開始
2023年3月 博士後期課程修了予定(修士同様首席での修了を目指します)

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academist支援者限定ページ上にて活動報告を定期的に更新します。研究の話や、最近気になっているサイエンスのニュース、面白かった論文をわかりやすくコラム形式でお伝えできたらと考えています。活動報告には、いただいたコメントへの回答なども交えながら、双方向のコミュニケーションを図れるような企画を考えていきます。また、博士学位論文に謝辞を掲載いたします。将来的には、サイエンスと社会に関する話題をざっくばらんに語り合えるようなサイエンスカフェを企画し、ご支援いただいた皆さまと直接お話できるような機会を設けたいと考えています。

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