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胃がんの緩和ケアとしての放射線治療法を確立したい!

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田中 修
朝日大学病院、准教授
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Comment from academist staff
末期がんの患者さんであっても、医療でQOLの向上を実現したい

miho otsuka

がんの進行度合や患者さんの体力的に手術ができなかったり、根治を目指すのが難しかったりする場合においても、生活の質(QOL)を向上するために医療ができることとして、緩和ケアがあります。たとえば放射線治療により臓器の出血を止めることができれば、継続的な輸血が必要なくなり、自宅に戻れるようになります。一方で、日本で特に罹患率の高い胃がんに対しては、放射線治療の利用は進んでいません。「利用拡大に向けては、まずは胃がんに対する放射線治療の存在を知っていただき、治療データを蓄積していく必要がある」という田中さん。今回のプロジェクトでは、ある放射線量での治療効果をみる「前向き試験」を実施するとともに、今後のさらなる研究の発展に向けて、学会発表や論文発表をとおした治療方法の周知を目指します!

手術ができない場合に、現在の医療ができること

がん医療において、緩和ケアという考え方があります。痛みやつらい症状を緩和しながら、患者さんができるだけ充実した日常生活を過ごすことを目指すものです。緩和ケアは、がんの根治を目指す治療において、また、がんの進行度合や患者さんの体力的に手術ができなかったり、根治を目指すのが難しかったりする場合においても、生活の質(QOL)を向上するために医療ができることのひとつです。

緩和ケアの手段のひとつに放射線治療があります。放射線照射でがん細胞が死んで正常細胞ができてくれば、臓器表面の腫瘍を減らすことができます。結果として、臓器の出血を止める効果などが期待されます。放射線治療はさまざまながんの治療において使用が広がりつつありますが、胃がんに対する有効性の検証は研究段階といえます。

胃がんは以前よりは罹患率は減少傾向ではあるものの、日本人においてはいまだ高いのが現状です。検診の普及および啓蒙活動により早期で発見されることもあり、その場合には手術(ときには抗がん剤も追加)で治療しますが、進行がんで発見され、手術ができないほど進行している場合もあります。ただそうした状態であっても、QOLを向上するための放射線治療という手段は残されています。私は、胃がんに対する放射線治療の利用の拡大を目指し、放射線をどの程度照射したら進行胃がんの出血を止めることができるかの探索研究を行っています。

胃がんに対する放射線治療の現状

進行し出血を伴う胃がんは継続的な輸血が必要になり、退院することが難しいのが現状です。輸血がいらない状態にするには出血を止めるしかありません。まだまだ研究段階である一方で、胃がんの出血に対する放射線治療の有効性が世界中で発表されてきてもいます。現在は、手術もできず内視鏡的止血術でも止血困難な場合に、放射線治療が行われることがあります。出血が止まれば、一時的ではありますが自宅に戻り普通の食事を取ることが可能になります。

では、先行事例ではどの程度放射線を照射しているのでしょうか? 放射線量については世界中のさまざまな施設から報告があります。Lee(韓国ソウル市聖マリア病院)は胃がんによる出血に関して放射線治療の有効性を報告し、放射線量36Gy(Gyは放射線の単位)以上は止血効果と有意に関連していたと報告しています。また、Tey(シンガポール国立がんセンター 放射線治療科)の報告では39Gy以上の高い線量と39Gy未満の低い線量を有するグループとの間で出血の奏効率に差はないと報告しています。一方、日本の川端先生(京都第二赤十字病院)は胃がん出血に対する止血照射を18人の患者について報告し、放射線量は6Gyでしたが治療成功率は55%と報告しています。そして彼らの研究では低い線量でも止血し患者さんのQOLを改善するかもしれないと結論付けています。

現在の胃がんに対する放射線治療では、こうした過去の症例を参考にしつつ、日常臨床で副作用と腫瘍制御の兼ね合いを見ながら、患者さんごとに放射線量を最適化しています。このように過去の症例を参考にすることを「後ろ向き試験」といいます。しかし、本当に適切な治療方法を確立するには、胃がんで出血などをきたしている患者さん全員に同じ放射線量を設定して、そこからどの程度治療効果が出るかを患者さんとともに経過を見ていく「前向き試験」を実施する必要があります。

適切な治療方法を確立するため、「前向き試験」を実施する

今回のプロジェクトでは、最低限の線量を用いて放射線治療の副作用を減少させると同時に、周囲の臓器の機能温存を維持してどこまで出血を制御できるかを探索する前向き試験を実施します。

前向き試験で設定する線量については、前述の過去の症例報告から、30Gyを超えるような高線量は必要ないかもしれないと私たちは考えています。私はこれまでに、出血を伴う胃がんに対して20Gyの止血照射成功例を4例報告しました。また、線量が高ければ胃腸管を穿孔(せんこう)する危険性があります。そのため今回の前向き試験では安全性も考慮して、20Gyと低い線量を固定し、すべての患者さんに対して同様の放射線治療を施行します。国の臨床試験番号はUMIN000026362です。

20Gyという線量では、1日10分の照射を5日間行うことで放射線治療が終了します。治療後1週間程度から止血効果を認めることが多く、貧血が改善したら退院して経過観察をしていただくことになります。また患者さんによっては抗がん剤治療を開始することも可能です。

Why we need your support

胃がんは国民病です。そして進行期に見つかり、輸血と点滴の対処しかできない状態になることも珍しくありません。しかし、胃がんに対する放射線治療は、そうした状態を緩和する手段となり得ます。残された時間を自由に使えるようにすること、家に帰ってまた普通のご飯を家族で食べることができる生活にすることが目的です。

現在、胃がんの診療ガイドラインには放射線治療の役割が記載されていません。これはこれまでに大きな前向きの試験が無かったためです。そのため、前向き試験のデータを蓄積し胃がんの緩和ケアに対する放射線治療の有効性を確立していくためにも、この治療方法の周知が必要不可欠です。

ご支援いただいたお金は国内外での発表・渡航費用および論文にする際の校正費用に使わせていただく予定です。学会発表や論文掲載をとおして消化器内科外科の先生にもこの治療方法を知っていただくことで、末期で発見された患者さんにも医療でできることがあるということを啓蒙したいと思っています。ご支援のほどよろしくお願いいたします。

Profile

田中 修

はじめまして。朝日大学放射線治療科で准教授をしております田中修(たなかおさむ)と申します。専門は放射線治療ですが特に胃がん・肝臓がん・前立腺がんを扱っております。放射線治療には根治(完全に治す)を目指した治療と、緩和(痛み・出血などを取り除く)があり、今回私たちは胃がんの緩和放射線治療について研究を進めております。ここ数年、放射線治療の高度化に伴い、手術と放射線治療が同程度に治るなら放射線治療を選ばれる人が増えてきております。そのため新しい技術を実際の場でどのように使うか現在模索状態であるといえます。国際論文は年に4つほど出版しており、国内外の学会において研究成果を毎年欠かさず発表しております。2007年梅垣賞(日本放射線腫瘍学会)。

Project timeline

Date Plans
2019年4月 クラウドファンディング挑戦
2019年4月26日〜30日 欧州放射線腫瘍学会にてこれまでのデータ内容を発表
2019年 冬 上記の内容を国際論文で出版
2020年 春 付随研究を欧州放射線腫瘍学会で発表
2020年 冬 付随研究を国際論文にて出版

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