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Takechika Hayashi

Kyoto University、1st year doctoral student

Challenge period

2024-09-03 - 2025-08-31

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Wed, 26 Feb 2025 17:24:48 +0900

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Tue, 03 Sep 2024 08:00:00 +0900

#4. 宗教心理学って何やってるの?【論文紹介】

いつもお世話になっております,林尭親です。

今日は,みなさんに宗教心理学について知って欲しいという思いで,一つの論文を解説してみようと思います。今回紹介する論文は,「Religious Belief as Compensatory Control (Kay et al., 2010)」というタイトルの論文です。論文は,大体「序論→方法→結果→考察」の流れで書かれており,内容は以下の通りです。

   序論:今までの研究で分かってきたことや不足している知見は何か
   ↓
   方法:どのような方法で解決するか
   ↓
   結果:どのような結果が得られたか
   ↓
   考察:どのようなことが言えるか・さらなる発展方法や限界点は?」

では,宗教心理学の世界へいざ!

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【タイトル】Religious Belief as Compensatory Control (Kay et al., 2010):補完的なコントロールとしての宗教信仰
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【序論】私たちの生活の中で不確実性や予測できない出来事に直面したとき、心理的なストレスや不安を感じることがよくあります。このような状況において、人々は自分の環境や未来に対するコントロール感を失い、その結果として不安や混乱が生じます。コントロール感とは、個人が自分の行動や環境に対して影響を与える能力を感じることを指します。人々が自分の周囲の出来事に対してコントロール感を持っているとき、心理的な安定感を保ちやすくなります。しかし、コントロール感が失われると、個人は無力感を感じ、心理的なストレスが増加する可能性があります。

この研究では、宗教的信念がコントロール感を補う役割を果たすのではないかと仮定しています。特に、宗教的な信念が強いとされる文化や社会において、神や神々の存在が人々にとって心理的な支えとなることが示唆されています。この研究は、コントロール感の欠如が増すときに、宗教的信念がどのようにその不足を補い、不安を和らげるかを実験的に検証しています。
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【方法】研究者たちは実験を通じて、参加者に意図的にコントロール感を失わせる状況を作り出しました。具体的には、参加者に予測できない出来事や、制御できない環境に直面させることで、彼らのコントロール感を低下させるようなシナリオを設定しました。

その後、参加者には神や神々の存在に対する信念を評価するアンケートが渡され、コントロール感の変化に伴う信念の変化を観察しました。(その他にも,信念の強化がどのように不安やストレスを軽減するかについても検討されました)
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【結果】実験の結果、コントロール感が低下した参加者は、神の存在や宗教的な信念に対する考えが強まる傾向を示しました。これは、コントロール感が低下した状況において、人々が自分の不確実な状況を安定させるために、外部の支配的存在である神に対する信念を強化するという心理的メカニズムを示唆しています。特に、神の存在を信じることが、人々に自分の環境に対する制御感を回復させる手助けとなることが分かりました。

さらに、実験参加者が宗教的信念が高い人は、コントロール感がない状況においても無力感や不安感が軽減され、心理的な安定が保たれるという結果が得られました。これは、宗教的信念が単なる精神的な支え以上のものであり、実際に心理的なストレスを緩和する役割を果たしていることを示しています。この結果は、宗教的信念がコントロール感を補うための有効な手段であることを裏付けています。
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【考察】この研究は、宗教的信念が人々の心理的なコントロール感の欠如を補う役割を果たすことを示しています。特に、コントロール感が低下した状況では、神や宗教的存在が個人の心の安定を保つための支えとなることが分かりました。この結果は、宗教的信念が単なる信仰の枠を超え、実際に心理的な健康を保つための重要な要素となり得ることを示唆しています。

現実社会では,宗教的信仰でなくとも「世界の不確実性に対しての事物の見方を与えるシステム」であれば同様の機能を担うことも考えられます。例えば,過去の研究では福祉的な制度をきちんと整えるとコントロール感が増加することなどが示唆されているので(Barber, 2011),こういった方向にこの知見を広げて新しい「宗教のようなもの」を考えてみるといいかもしれません。

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とーーーっても長かったですが,ここまで読んでくださった方ありがとうございます!
活動報告で書いてほしい内容に関するリクエストや要望などありましたら,是非教えてくださいね!
Xなどでもご連絡お待ちしております!

Takechika Hayashi Fri, 29 Nov 2024 10:30:28 +0900
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