ヨウ素は日本の誇る天然資源 日本は天然資源に乏しい国といわれています。たとえば、電子機器に不可欠なレアメタルやエネルギー資源である石油がないという問題は、一般ニュースでも頻繁に扱われる題材となっています。そのような貧資源国である日本が、世界的にみても主要な産出国となっている数少ない天然資源がヨウ素です。世界産出量のおよそ30%を日本が担い、そのうちの7割強は千葉県にある南関東ガス田で産出されています。すなわち千葉県は世界のヨウ素需要の4分の1を担っているということになります。 このヨウ素は、人々の生活にとって欠くことのできない重要な元素です。甲状腺ホルモンの生合成に必要な生体必須元素であり、不足するとヨウ素欠乏症を引き起こします。また化学的に合成されたヨウ素化物としてはポビドンヨードのような殺菌剤、また画像診断検査で使うX線造影剤などが健康な生活の維持に役立っています。また液晶ディスプレイの偏向フィルムのように電子機器にもヨウ素が使われています。さらにこの10年あまりは、ペロブスカイト太陽電池に使われる元素としても注目が高まっています。 [capt...
橋本 卓也 / 2021年03月16日