ゼニゴケにはあってタバコにはない遺伝子を追求したら、100年越しの謎が解明できた - 名古屋大・藤田祐一教授インタビュー【前編】

植物にとって、最も重要な栄養成分のひとつである窒素。空気中には大量に含まれるありふれた元素だが、植物の生育にはそのままでは利用できないため、現状では肥料として補給する必要がある。しかし、将来的に空気中の窒素を自ら肥料に変換して生育する植物が実現できれば、作物生産に伴う環境・エネルギー負荷を大幅に軽減できるかもしれない。そんな夢のような「窒素固定作物」実現のカギとなるのが、ニトロゲナーゼという酵素だ。 ニトロゲナーゼは、一部の原核生物だけが備えている酵素で、大気中の窒素をアンモニアに変換する能力をもつ。名古屋大学大学院生命農学研究科 藤田祐一教授は、ニトロゲナーゼを植物でも機能させるというアプローチで、窒素固定作物の創出を目指している(参考:academist Journal「空気を肥料とする植物は可能か? – 光合成生物で窒素固定酵素を作動させる試み」 )。 実は、藤田教授とニトロゲナーゼの付き合いは長く、出会いは大学院生時代にまで遡る。本インタビューでは、藤...

周藤 瞳美 / 2020年04月22日