皆様のおかげをもちまして、目標額の130万円を達成することができました。支援金とともに頂いた皆様からの応援メッセージも私の大切な宝物になりました。このような形で新しいプロジェクトを立ち上げられることを大変嬉しく思います。これを新たな一歩として、これからも研究活動に邁進する所存です。頂いた支援金は大切に使わせていただきます。以降、プロジェクトの進捗状況をアカデミスト・ウェブサイトおよびプロジェクトのFacebookページにてお知らせしますので、随時ご確認下さい。ありがとうございました!
シカンは、世界遺産のマチュピチュで知られるインカ帝国よりもさらに約500年前に、ペルー北部海岸・ランバイェケ地方で栄えた先史社会です。ペルーの海岸地域において最大の農地を誇るこの地での灌漑農業はシカンに強固な経済基盤を与え、高度な冶金技術の発達による合金製品の大規模生産や、遠距離交易による覇権の拡大を可能にしました。ところが一方で、旧大陸で文明の礎となった鉄器や車輪、文字や活版印刷の発明などは最後まで行われませんでした。16世紀前半にスペイン人がやってくるまで南米には文字がなかったため、それ以前の歴史を明らかにするためには、考古学発掘に頼らざるを得ません。文字に残されていない歴史を、当時の人々が残した物的痕跡から少しずつ紐解いていくことが、この地の考古学研究の醍醐味です。
これまでの研究によって、シカンは複数の異なる集団からなる多民族社会であったことがわかっています。これは、遺伝的に異なる人々の遺体が、異なる様式で埋葬され、デザインの異なる副葬品とともに見つかることなどから明らかになりました。また、武器や要塞遺跡、外傷をともなった遺体などが一切見つかっていないことから、ほとんど武力衝突がなかったことが推察されます。私の研究テーマのひとつは、どのようにして多民族間の調和が保たれていたのかを明らかにすることです。今、私たちが生きている社会の平和を考える上でもとても重要な問いです。博士論文のための調査では、首都の中心地で定期的に宴を開いた痕跡が見つかりました。社会的地位や文化的アイデンティティの異なる人々が招かれ、高価なシカ肉やトウモロコシのビールなどでもてなされたことがわかりました。ただしこの時の発掘区はとても小さく、より広い範囲を発掘してみなければ、どのようなことが行われていたか詳しいことは分かりません。
そして、もうひとつの研究テーマが、シカン衰退の経緯を明らかにすることです。一時は隆盛を誇ったシカンも、その繁栄は950年から約150年ほどしか続きませんでした。1020年頃から30年に渡って続いた大干ばつと、それに続いて1050年から1100年の間に起こった「メガ・エルニーニョ」と呼ばれる凄まじい気象変動を機に衰退の兆しを見せます。豪雨や洪水によって住居や農地が破壊されたまま放棄されたり、これと機を同じくして、それまで信仰されていた「シカン神」の偶像崇拝がなくなったり、首都の主要ピラミッドが燃やされたり、といった興味深い物的痕跡が記録されています。私は発掘調査によってより多くの物的証拠を集め、その分析を通じて、どのようにしてシカンの政治や宗教が力を失っていったのかを明らかにしたいと思っています。
これらの問いを明らかにするため、今回私は、シカンを支配していた貴族たちのピラミッドが囲むようにして作られたスペース、通称「大広場」の発掘を行いたいと思っています。首都の中心に位置し、複数の貴族家系をつなぐこの大広場では、さまざまな人々を招いて、宗教や政治にかかわるイベントが行われてきました。発掘区を拡大することによって、多民族社会における共存のためのヒントや、シカンの繁栄や衰退の歴史を明らかにするための痕跡が見つかる可能性が非常に高く、とても楽しみにしています。
一方で、発掘費用の工面に困っています。みなさんは、考古学調査と聞いてどのようなイメージをお持ちになるでしょうか?発掘は、通常2〜3ヶ月をかけて、数十名の作業員が総動員となって行われます。さらに調査員は発掘現場近くに宿舎を設営し、調査期間中の寝食をともにするため、膨大な費用がかかります。また、専門的な機器を導入したり、専門家を招き入れようとすれば、さらに費用がかさみます。今回は、比較的エリアを絞った集中発掘となるため、20名程度で1ヶ月半の調査を予定しております。皆様には是非academistを通じて費用のサポートをお願いしたく思います。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
時期 | 計画 |
---|---|
2015年02月~2015年04月 | クラウドファンディングに挑戦 |
2015年06月下旬〜07月下旬(5週間) | 調査/データ分析 |
2015年08月〜2015年12月 | 報告書作成および論文執筆 |
シカン文化に関連する選りすぐりの壁紙をお送りします。これまでの発掘で出土した製品に刻まれたデザインの一覧は、思わず見入ってしまうと思います!
シカン壁紙
12人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
パレテアダと呼ばれる文様土器の破片から取った拓本を、しおりにしてプレゼントいたします。ここで言う拓本とは、古銭研究に使われる拓本技術によって、模様を土器片から油性の墨で画仙紙に直接写し取ったものです。ラミネート加工した後に現地産の(未染色な)カラフルな綿紐をつけてお送りします。
オリジナル拓本しおり / シカン壁紙
17人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
過去にシカンの支配地域で発見された神殿内部に書かれた壁画をデザインにしてTシャツを作りました。 TシャツのサイズはS, M, L, XLからお選びいただけます。
壁画デザインTシャツ / シカン壁紙
26人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
現地には行けなくても、考古学研究を体感してみたい方に今回のプロジェクト動画をお送りします。シカン研究の基礎知識や、今回の調査の目的、現地での調査の様子、得られた結果などをまとめた動画になります。発掘者視点から撮影された動画なども織り交ぜまぜながら、現場の雰囲気を可能な限りお伝えします!
考古学体感ムービー / 壁画デザインTシャツ / シカン壁紙
29人のサポーターが支援しています (数量制限なし)
今回の調査に関する学術レポートをお送りいたします。発掘調査で集めた物的証拠を元に、当時の真相に一歩近づくご報告ができればと思っています。ご希望者には、論文謝辞にご氏名を記載させていただきます。ご送付は2016年上旬の予定です。
論文贈呈(謝辞に氏名掲載) / 考古学体感ムービー / シカン壁紙
5人のサポーターが支援しています (限定 5 個)
出土した遺物を精密に模写した図版をお送りします。細かに詳細を描写したものを、フレームに入れてお送りいたします。以前に考古学好きの友人にプレゼントをして、とても好評だった自慢の一品です!
模写図版フレーム / 考古学体感ムービー / シカン壁紙
2人のサポーターが支援しています (限定 5 個)
壁紙、しおり、Tシャツ、動画、論文、図版フレーム、今回のプロジェクトで用意した全てのシカングッズをまとめてお送りいたします。
模写図版フレーム / 論文贈呈(謝辞に氏名掲載) / 考古学体感ムービー / 壁画デザインTシャツ / オリジナル拓本しおり / シカン壁紙
2人のサポーターが支援しています (限定 5 個)
2015年6月22日~7月24日に実施予定の発掘調査にご参加いただける権利を差し上げます。プロジェクトメンバーとともに宿舎で生活しながら、発掘調査を実体験していただきます。経験不問、スキル不要です。現地での生活費はプロジェクトで負担します。全期間でも、一部のみのご参加もかまいません(具体的な旅程については応相談)。また、週末には現地周辺の遺跡や博物館めぐりなども予定しています。ただし、現地に来られる際の、旅費、交通費、旅行保険費等は別途自費になりますので、ご了承ください。
発掘調査参加
3人のサポーターが支援しています (限定 5 個)
当サイトは SSL 暗号化通信に対応しております。入力した情報は安全に送信されます。
シカン壁紙
12
人
が支援しています。
(数量制限なし)
オリジナル拓本しおり 他
17
人
が支援しています。
(数量制限なし)
壁画デザインTシャツ 他
26
人
が支援しています。
(数量制限なし)
考古学体感ムービー 他
29
人
が支援しています。
(数量制限なし)
論文贈呈(謝辞に氏名掲載) 他
5
人
が支援しています。
(限定 5 個)
模写図版フレーム 他
2
人
が支援しています。
(限定 5 個)
ギフトセット 他
2
人
が支援しています。
(限定 5 個)
発掘調査参加 他
3
人
が支援しています。
(限定 5 個)